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オホラとオホリバ

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23. オホラとオホリバ

【聖書箇所】 23章1節~49節

ベレーシート

  • 聖書では、神と民の関係を夫婦としてたとえています。エゼキエル書16章では「エルサレムの町」を妻としてたとえていましたが、ここではイスラエルの民が妻としてたとえられています。しかも23章では、妻が「二人の姉妹」、すなわち、北イスラエル王国と南ユダ王国の二人の姉妹として描かれています。しかもこの二人の姉妹は夫である主に対して不貞を犯した遊女とされています。
  • 16章でも主とエルサレムとのかかわりが性的な表現を用いて描かれていましたが、23章でもそれがより露骨に表現されています。
  • 二人の姉妹の名前は「オホラ」と「オホリバ」です。前者の「オホラ」は姉で「サマリヤ」(北イスラエル王国の首都)の象徴的名称です。後者の「オホリバ」は妹で「エルサレム」(南ユダ王国の首都)の象徴的名称です。姉妹の名前のそれぞれのルーツはヘブル語の「オーヘル」(אֹהֶל)で、天幕、あるいは、幕屋を意味します。そこから派生した姉の「オホラ」(אָהֳלָה)は「天幕」、妹の「オホリバ」(אָהֳלִיבָה)は「私の中にある天幕」という意味になります。ここでの天幕はおそらく偶像礼拝に関連した天幕を暗示しています。

1.  二人の姉妹のそれぞれの悪行

オホラ(サマリヤ)
23:5~10

エジプト人、およびアッシリヤとの淫行を重ねた。オホラは恋い慕ったアッシリヤ人によって滅ぼされた。

北イスラエルの王であったエフーはアッシリヤの王に臣下としての忠誠を示して贈り物をしています。メナヘム、ホセア王も事実上賄賂として貢納しています(Ⅱ列王15:19, 17:3)。これは主への不信であり、大国を信頼した行為でした。

オホリバ(エルサレム)
23:11~21

エジプト人、アッシリヤ人、バビロン人(カルデヤ人)たちと淫行を重ねた。オホリバは姉のオホリよりもその淫行ぶりはひどかったとされています。主はオホリバの恋人たちを駆り立てて妹を滅ぼされました。

アハズ王はアッシリヤと姦通し、ヒゼキヤ王は晩年、バビロンへの不貞な欲望を抱き、マナセに至ってはアッシリヤと姦淫を犯し、エホヤキムは愛人のエジプトによって即位させられ、ユダの最後の王となったゼデキヤはバビロンによって即位させられました。


2. 二人の姉妹の憎むべき二つの罪

(1) 偶像と姦通したこと

  • 聖書では、偶像礼拝は一貫して霊的な姦通とみなしています。23章での「偶像」は政治的な同盟を意味していますが、それは主が最も忌み嫌うべきことでした。というのは、強国との同盟は、主か十分な支えであることを否定することであったからです。歴史の中で主がご自身の民に繰り返し示してこられた「生存と防衛の保障」を否定されることであったからです。政治的な同盟は主よりも、他の諸国との助けが自分たちには必要であるという確信から生まれたものです。これは主に対する不信を明確にあらわすものでした。
  • 政治的同盟は、同時に、宗教的な偶像礼拝を持ち込むことにつながりました。偶像の特徴である「口があっても語れず、・・・のどがあっても声をたてることもこともできない」ことを良いことに、自分たちの欲望を無限に肯定してくれる神として受け入れたのです。とすれば、「語られる神」であるまことの主の存在はウザったいものとなってしまいます。こうした恥知らずの遊女となってしまった民を、主は彼らが拠り頼んでいた国の手に渡されたのです。

(2) 自分たちの子どもを偶像のために火の中を通らせたこと

  • 「自分たちの子」は主の子でもあった。その子たちを偶像の神へのいけにえとしてささげたのである。まことの神である主に対して不貞を働いただけでなく、その徹底ぶりは、自分の子どもをいけにえとして、火の中を通らせて焼き尽くすということまでして、虚しい偶像により頼んだことに、主は耐えることができませんでした。しかも手に血を染めたまま主の宮に来て聖所を汚し、主の安息日を汚したと糾弾されています。つまり、主の礼拝と異教の偶像への礼拝を一緒にするという無神経さに主は耐えられなかったのです。
  • 主イエスが「神の国とその義とをまず第一に求め続けなさい」(マタイ6:33)と語ったことは、神の国の市民である者に対する最も重要な命令だったのです。それは、神の国の支配者であられる天の父とのかかわり(義=信頼))をどこまでも第一としていく命令です。なぜなら、この方こそ、生存と防衛を保障する唯一の方だからです。

2013.6.8


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