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サウル家とダビデ家との抗争

28. サウル家とダビデ家との抗争

【聖書箇所】 2章1節~32節

はじめに

  • サウルの死後、さまざまな動きが進行していきます。まずは、サウルから逃げる必要のなくなったダビデが、主に伺って、ヘブロンへ上って行くことを示されます(当時、ヘブロンはユダの中心地でした)。そのヘブロンでユダの人々は油を注いでダビデを王とします。ダビデがやがて正式のイスラエル全体の王となるまでの7年半はユダ族の王のままです。その最初の2年間はサウル家とダビデ家との抗争で費やされます。「雨降って地が固まる」ということばがあるように、ダビデがどのようなプロセスによってイスラエルの王位に就くのか、それを記しているのがサムエル記第二、2章から4章です。

1. 登場人物の相関図

  • まずは、登場する人物の相関図がないと話が混乱してしまいそうです。

画像の説明


2. 第2章においてダビデがしたこと

  • 2:4~7において、サウルがアモン人からヤベシュ・ギルデヤから救ったことがありました(Ⅰサム11章)。ヤベシュの住民はその恩を忘れることなく、サウルとその息子たちの遺体を引き取って、丁重に葬ったことが記されています(Ⅰサム31:11~13)。
  • そのことを聞いたダビデはヤベシュ・ギルアデに使いを送り、協定を結ぼうとしています。ダビデはこのことによって、何をもくろんでいるのでしょうか。その前に、ダビデがヤデシュの人々を賞賛しています。その賞賛とは、

2:5「あなたがたの主君サウルに、このような真実(ヘセド)を尽くして、彼を葬ったあなたがたに、主の祝福があるように。
2:6 今、主があなたがたに恵み(ヘセド)とまこと(エメス)を施してくださるように。この私も、あなたがたがこのうよなことをしたので、(トーヴ)をもって報いよう。さあ、強くあれ、勇気ある者となれ。あなたがたの主君サウルは死んだが、ユダの家は私に油をそそいで、彼らの王としたのだ。」

  • このことをどう理解する(解釈する)かは、ダビデの霊性を理解する上でとても重要だと考えます。つまり、ダビデが使者を遣わしてヤベシュの人々を賞賛して伝言したその真意です。いろいろな解釈が考えられます。

(1) ヤベシュのした人々の「主君に対する忠誠」を模範として高く評価し、自分がイスラエルの王となったときには彼らの忠誠に報いたいということを表明することで、自分がやがて王となったときに何を大切にしていくかを打ち出している。

(2) サウル家の王位継承に対して牽制したい思惑があった。なぜなら、ヤベシュはサウル家の陣営の拠点(マハナイム)に近いところにあったから。

(3) ダビデのヤベシュの人々に「強くあれ。勇気ある者となれ。」ということばは、彼らを自分の味方につけておきたい思惑があった。

(4) 自分こそやがてイスラエルの王となるべき後継者であることを明示しようとした。

  • このダビデの伝言を、ヤベシュ・ギルアデの人々がどのように受けとめたのか、そのことを聖書は記していません。それは重要なことではなく、むしろダビデの神に対する姿勢が何であったが重要です。ダビデがヤデシュ・ギルアデのサウルに対する忠誠をたたえたのは、ダビデ自身が「主の恵みとまこと」の中に生きていたことのあらわれであったという事実のゆえです。

2012.7.11


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