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ネブカデネザルの見た夢の啓示

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2. ネブカデネザルの見た夢の啓示

【聖書箇所】 2章1節~23節

ベレーシート

  • ダニエル書の原文では、2章4節~7章28節までは異邦人の言語「アラム語」で書かれています。つまり、ダニエルはバビロン人を意識して彼らに分かる言葉を選んで書いたと言えますが、未来における神の民と神の国の到来に関する描写にはヘブル語が用いられているのです。
  • 「夢」(「ヘーレム」 חֵלֶם、「ヘルマー」חֶלְמָא)、「解き明かす」(パーシャル פָּשַׁר)、「秘密」(ラーズרָז)などはみなアラム語です。ちなみに、名詞の「夢」のヘブル語は「ハローム」(חֲלוֹם)です。動詞は「ハーラム」(חָלַם)。

1. 心が騒いで眠れなかったという王の夢

  • ネブカデネザルの治世の第二年目に、彼はいつくかの夢を見たとあります。ちなみに、バビロン暦とユダヤ暦では年数の数え方が異なります。バビロン方式では王が即位した翌年から王の治世の第一年として数えます。ユダヤ方式では王が即位した年が治世の第一年として数えます。ですから、ユダヤ暦の方は一年多い年数となります。
  • 王という地位はきわめて孤独です。国が立つのも、国が倒れるのも、王の一つの判断や決断が国の将来を大きく左右させるからです。そのたるに、王は自分の周囲に相談役となる「呪法師」「呪術者」といった者たちを置いているのです。
  • 1節に、王が夢を見たことで「心が騒ぎ、眠れなかった」とあります。ここでは王の心(ルーアッハ)が「騒ぐ」と訳された動詞のヘブル語の原語は、「パーアム」(פָּעַם)です。この動詞は旧約では5回しか使われていません。その意味は二つの面をもっています。一つは心が「乱れ、騒ぎ、思い悩んで落ち着かない」という意味。もう一つは主の霊が人に臨むとき、その心を「揺り動かされ、感動させ、奮い立たせる」という意味です。ここでは前者の意味で使われています。
  • 王の心の騒ぎは、自分の見た夢の意味を「解きたい」(「ヤーダ」יָדַע)という思いと同義です。「夢」は、古代人にとっては、やがて起こることの前兆と考えられていたようです。エジプトに売られてしまったヤコブ(イスラエル)の息子の一人であったヨセフがエジプトの王の見た夢を解き明かしたことで、大出世を果たしたように、バビロンへ人質となったダニエルもバビロンの王ネブカデネザルの見た夢を解き明かす存在となり、やはり王によって高い位につけられることになるのですが・・(2:47)。

2.  王の夢とその夢の解きあかす秘密が啓示されたダニエル

  • ここでの難問は、王が自分の見た夢の内容を知らせることなく、その夢とその解きあかしを王に告げるということでした。この難問に答えることのできるバビロンの知者はだれひとりとしておりませんでした。そのために、「王は怒り、大いにたけり狂い、バビロンの知者をすべて滅ぼせ」と命じたのです。ダニエルとその同僚たちも同じ運命にありました。しかし、ダニエルは王のとろこに行き、「しばらくの時を与えてくれるように願ったのです。」(16節)
  • ダニエルは自宅に戻って、他の同僚と共に祈った時に、「夜の幻のうちにこの秘密が啓示され」たのです。そしてダニエルは天の神をほめたたえました。その時の賛美が20~23節に記されています。その賛美は、ダニエルが神をどのような方として知っていたかを示すものです。

    【新改訳改訂第3版】ダニエル書 2章20~23節
    20 ・・・知恵と力は神のもの。
    21 神は季節と時を変え、王を廃し、王を立て、知者には知恵を、理性のある者には知識を授けられる。
    22 神は、深くて測り知れないことも、隠されていること(סָתַר)もあらわし(גָּלָה)、暗黒にあるものを知り、ご自身に光を宿す。

  • ここには、「知恵と力は神のもの」とあるように、賛美する根拠として、神の全知と全能がたたえられています。この神は自然と歴史を支配される方であり、いかなる地上の王も、神の絶対的な主権の前には全く無力です。その神がダニエルに、ネブカデネザルの見た夢の秘密を啓示されたのです。
  • 新約において聖霊の賜物について言及されています。賜物の中でも上位にランクされているのが、実は「知恵と知識の賜物」なのです。そしてこの「知恵と知識の賜物」こそ、神の秘密(奥義)を見出すことのできる能力なのです。コリント人への手紙第一、12章8節では「知恵のことば」「知識のことば」と表現されています。使徒パウロはこの賜物を豊かに与えられていた人と言えます。


2013.8.7


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