北イスラエル王国の超最悪の王アハブの登場
列王記の目次
17. 北イスラエル王国の超最悪の王アハブの登場
【聖書箇所】 16章1節~34節
はじめに
- 16章から、北イスラエル王国の中で神の目から見て善い王は一人もおりませんが、その中でも最悪とされている王たちがいます。それはオムリとその息子アハブです。後者のアハブの父以上の、超最悪の王です。このアハブの治世の時に預言者エリヤを神は遣わしますが、アハブの妻イゼベルの屈しない態度によってある意味では敗北します。そうしたアハブの時代を聖書は7章(16~22章も費やして記しているのです。
1. バシャ王朝(バシャ、エラ)
- 15:33には「ユダの王アサの第三年に、アヒヤの子バシャがティルツァで全イスラエルの王となった。治世は二十四年。」とあります。そのバシャに対して、神は預言者エフ―によって次のように語りました。
新改訳改訂第3版 Ⅰ列王記16章2節~4節
2 わたしはあなたをちりから引き上げ、わたしの民イスラエルの君主としたが、あなたはヤロブアムの道に歩み、わたしの民イスラエルに罪を犯させ、その罪によってわたしの怒りを引き起こした。
3 それで今、わたしはバシャとその家族とを除き去り、あなたの家をネバテの子ヤロブアムの家のようにする。
4 バシャに属する者で、町で死ぬ者は犬がこれを食らい、野で死ぬ者は空の鳥がこれを食らう。
- この預言は、バシャの息子エラが王となって2年目に、家来だったジムリ(戦車隊の半分の長)によって実現しました。バシャ王朝は、パシャがヤロブアムの一族を根絶やしにしたように、同じく根絶やしにされました(16:11)。
- バシャ王朝は、ヤロブアム王朝の時に首都としいたシェケムからティルツァへと移しました。「ティルツァ」は「快適」という意味。ソロモンは雅歌の中で自分の「愛する者」をこの町にたとえたほどに「美しい」町であったようです(雅歌6:4)。
2. ジムリ王朝(ジムリ)
- わずか7日間だけの王座でした。バシャの息子エラを暗殺して王位を奪いましたが、そしてバシャ王家を根絶やしにしました。そのジムリも民衆が立てたオムリによって暗殺(王宮に火を放っての無念の自殺)されました。
3. オムリ王朝
(1)最悪の王オムリ
- 「ジムリ」זְמְרִיから「オムリ」עָמְרִיヘ。一字違いです。オムリは6年間「ティルツァ」で統治した後に、首都を「サマリヤ」へ移しました。それは「サマリヤ」を首都とするために6年間の建設期間を要としたということです。
(2) 超最悪の王アハブ
- サマリヤ建設はオムリの息子アハブにも受け継がれますが、以後、北イスラエル王国の偶像礼拝の中心地となっていきます。その推進役となったのが、アハブの妻となったイゼベル(その意味は「バアルがともにいます」)です。彼女はツロとシドンの祭司であつた王エテバアルの娘でした。イゼベルは自分の国でもそうであったように、嫁いだ先のイスラエルのサマリヤにおいて、バアルの神殿を建設し、政治と宗教に大きな影響を与えのです。
- イスラエルの王アハブがイゼベルを妻として迎えたことが、列王記の最も重要な部分です。魚に例えるなら胴体の部分に相当します。イゼベとの結婚によって、「バアル」というこの世の毒が、北イスラエルのみならず、南ユダ王国のダビデ系列にも混じってしまったのです(それは南ユダの王アタルヤがイゼベルの娘と結婚したからです)。南ユダ王国においてバアルの影響をすべて取り除くという改革をしたのはヨシヤ王です。しかしこのときはすでに北王国は滅んで90年も経っていた頃です。これはバアルの影響の大きさを物語っています。
- そもそも偶像礼拝とは、まことの神である主のみここから離れた、全く自己中心的な国を築くことを意味します。
2012.10.6
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