恩寵用語Ps72
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詩72篇 「統べ治める」 רָדָה ラーダー
〔カテゴリー統治〕
8節「彼は海から海に至るまで、また、・・まで統べ治めますように。」 (新改訳)
Keyword; 「統べ治める、支配する、治める」 rule, 49:14/68:27/72:8/110:2
- 詩72篇は「王の詩篇」であり、しかもタイトルあるように、「ソロモンに象徴される理想の王と王国について」述べられています。かつてイスラエルの歴史に王制が導入されましたが、ダビデもソロモンも、そしてそのあとに続く王もみな神の完全な代理者としての王とは言えませんでした。その多くは偶像礼拝に走り、理想な王とはほど遠い統治者でした。
- しかしこの詩72篇にはやがて来られるまことの王とその王国のすばらしさが預言されています。8節の「統べ治める」と訳されたラーダー(רָדָה)、この詩72篇では神の王としての統治概念を統括している動詞と言えます。つまり、このラーダー(רָדָה)に理想的な王の恩寵的統治用語のすべてが収斂しているということです。
- 王として「支配する」という意味での動詞はマーシャル(מָשַׁל)が一般的で、旧約では80回、詩篇では10回使われています。それに比べるとラーダー(רָדָה)は旧約で23回、詩篇では4回と神の統治用語としてはそれほど多くありませんが、詩72篇では重要なキーワードです。
- 詩72篇には以下のように、理想的な王の数多くの恩寵用語を見出すことができます。
(1) 2節「さばく」ディーン(דִּין) 「義をもって、・・公正をもってさばきますように」
(2) 4節「弁護する」シャーファト(שָׁפַט) 「悩む者たちを弁護し」
(3) 4, 13節「救う」ヤーシャー(יָשָׁע) 「貧しい子らを救い」「貧しい者たちのいのちを救います」
(4) 4節「打ち砕く」ダーハー(דָּכָא)「(貧しい者を)しいたげる者どもを、打ち砕く」
(5)12節「救い出す」ツィール(צִיל)「助ける人のない悩む者を救い出す」
(6)13節「あわれむ」フース(חוּס)「弱っている者や貧しい者をあわれみ」
(7)14節「贖い出す」ガーアル(גָּאַל)「彼らのいのちを贖い出し」
(8)14節「尊ぶ」ヤーカル(יָקַר)「彼らの血は彼(王)の目に尊ばれましょう」―※イザヤ書の有名な43章4節にもこの動詞が使われています。「わたしの目にはあなたは高価で尊い。」
- 愛に満ちた王は、同時に、偉大な力ある神であるということは、私たちに終末論的な大きな希望を与えてくれます。「王の詩篇」といわれる詩篇のメッセージはそれを色濃く語ってくれています。
- 17節に「彼の名はとこしえに続き、その名は日の照るかぎり、いや増し、人々のは彼によって祝福され、すべての国々は彼をほめたたえますように。」とあります。彼とはメシアのことです。彼の名は日の照るかぎり」と訳されていますが、ヘブル語原文では「リフネー・シェメシュ」(לִפְנֵי־שֶׁמֶשׁ)で、日の照る前からという意味であり、まさに最初であり、初めである方なのです。
- 一度来られた神の御子キリストは、王の王として威光と尊厳をもって、再び、この地に来られます。この方こそ、私たちの信頼の的、希望の星、明けの明星です。「主よ。来りませ」(マラナ・タ)