歴史書としての歴代誌
「歴史書(2)」の目次
A. 序-1. 歴史書としての歴代誌
(1) 歴史とは何か
① 過去の総体としての歴史
② 書かれた史書としての歴史 ⇒(①≠②)
- 過去の総体としての歴史は、人間の理解を絶した無である。書かれた史書としての歴史書は、その総体の中から選択され、意味づけられたものである。その選択の基準となる視点が歴史観である。それゆえ歴史書はすべてある視点から、ある目的に従って書かれたものと言える。
(2) 歴史書としての歴代誌
①歴代誌は、同じく歴史書であるサムエル記、および列王記に記されている歴史的事実と重複する部分が多いが、事実の選択はそれぞれ異なった視点から解釈され、また省略されている。
②歴代誌の歴史観とは、礼拝の民として選ばれた神の民が、再建を図るに当たって、礼拝こそイスラエルの中心であるという視点である。この視点から歴史が見直され、編纂されたものが歴代誌である。そしてイスラエルの理想的な礼拝者の典型ともいうべきダビデに多くの紙面が割かれ、ダビデに与えられた賛美による礼拝とそのヴィジョンが強調されている。なぜなら、ダビデこそ「神の王国」としてのイスラエルにおける「真の礼拝者」のモデルだからである。
③ イスラエル歴代の王たちは、このダビデの道を歩んだかどうかで評価されている。
「歴史書(2)」の目次