瞑想Ps13/A
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瞑想Ps13/A
- 今朝の詩篇は典型的な「嘆きの詩篇」です。しかし、嘆きが嘆きで終わっていません。表題も「ダビデの賛歌」となっているように、嘆きがやがて賛美に変わっています。これこそ詩篇の力です。この力を経験するようにとダビデは私たちを招いています。
- 詩13篇にみるダビデの嘆きは、寝ても覚めても悲しみのトンネルの中にいて、いつそこから出られるのかわからない、その出口が見えてこない苦しみです。そのうち悲しみで、死の眠りに落ち込んでいくのではないかと動揺しています。悲しみをもたらした原因については何も記されてはいません。自分の失敗によるものなのか、身近な者によってもたらされたものなのか、あるいは喪失体験によるものなのかはっきりしません。ただ悲嘆にくれていることはハッキリしています。神も自分のことを忘れてしまったのではないかと思い悩んでいます。もう自分はだめなのか? 自分はもう終わってしまったのか? 自分はもう立ち上がれないのか? このままだと死んでしまうかもしれない・・そんな痛々しい気持ちが伝わってきます。
- 心に重くのしかかる、なんとも表現できない悲しみの経験は、人生の中でいつもあるわけではありません。しかし私たちはそうした悲しみに襲われるときがあるのです。ダビデは「私に目を注ぎ、・・私の目を輝かせてください。私が死の眠りにつかないように。」と祈っていますが、その祈りは、おそらく、激しい叫びではなく、弱々しいものだったと推測します。悲しみに押しつぶされると、祈りさえもできなくなるものですが、ダビデは弱々しくとも祈ることができました。それは幸いでした。彼は祈りの中で目が開かれる経験をしたのです。それが、5節と6節です。新改訳では4節と5節の間に空白を置いていますが、口語訳では5節のあたまに「しかし」と入っています。この「しかし」が重要だと思います。なぜなら、ダビデの心の目が開かれた転換点を意味するからです。
- 彼はこう告白しました。「私はあなたの恵みに拠り頼みました。私の心はあなたの救いを喜びます。私は主に歌を歌います。主が私を豊かにあしらわれたゆえ。」(5、6節) 特に「私はあなたの恵みに拠り頼みました。・・主が私を豊かにあしらわれたゆえ。」・・これが今朝の私の瞑想のキー・ワードです。
- この賛美は、ダビデがまだ悲しみのトンネルの中にいたときに告白したものであると私は信じます。ダビデは自分の嘆きの中で、自分の人生を振り返りながら、自分が主にどんなに良くしてもらってきたか。その主の恵みに思いを巡らしたのです。「主が豊かにあしらわれる」(LB訳「身にあまる祝福をいただいた」、TEV訳「主が私に良くして下さった」)。これは主の恵みと結びつけられて味わうべきものです。
- 神がダビデと契約を結ばれた時、神は次のように語られました。「あなたの家とあなたの王国とは、わたしの前にとこしえまでも続き、あなたの王国はとこしえまでも堅く立つ」(Ⅱサムエル7章16節)と。この契約は全く恵みを土台としています。その内実は、ダビデとその子孫を決して見捨てないばかりか、彼の子孫から永遠の王が生まることを神が約束されたのです。サウル王にはこのような恵みは与えられていませんでした。しかしダビデに対しては、神は全き恵みをもってあしらわれたのです。その約束だけでなく、ダビデの生涯は、そのすべてにおいて、彼の犯した恐ろしい失敗にもかかわらず、神の一方的な恵みによって取り扱われる者の幸いを証しています。
- ＜神の恵み＞・・・それは驚くべき神の一方的な気前よさです。神は、マタイの福音書20章にある「自分のぶどう園で働く労務者を雇いに出かけた主人」のような方です。朝早く働いた者にも、夕方近くになって働いた者にも、等しく一日に生きるに必要な１デナリを払ってやりました。この主人の好意を最も受けた人は夕方から働いた人です。それは彼らの働きによるものではなく、主人の「同じだけ上げたい(支払ってやりたい)」という一方的な気前良さでした。それが恵みなのです。主を信じる者に注がれる豊かな恵みは、イエス・キリストを通して、今もこの私に注がれていることを思うとき、ダビデと同じように「私の心は・・喜び」、と賛美が口から出てくるのは当然のことです。今朝、私はあらたな思いで「主の豊かな恵みに拠り頼みます」と告白し、主への賛美を誓います。 I will praise!!
