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神の契約の箱の移動ストーリー

5. 神の契約の箱の移動ストーリー

【聖書箇所】 5章1節~7章2節

画像の説明

  • 上の図は、岩波書店出版の「サムエル記」24頁にある掲載図です。
  • 以下にあるサイトはより詳しいです。

はじめに

  • 5章1節~7章2節まで、シロの主の宮から持ち出された神の契約の箱がペリシテ人に奪われ後どのようになったのか、その経緯が記されています。その神の箱物語からどんなメッセージが隠されているのか瞑想したいと思います。

1. 神の箱の移動の経緯

(1) ペリシテ領のアシュドデ

ペリシテ人はエベン・エゼルでイスラエルに勝利した後、神の箱を奪ってアシュドデにあるタゴンの宮に安置しました。ところが翌日、その宮の神であるタゴンが主の箱の前に倒れていました。次の日にはそのタゴンの頭と両腕がやはり主の箱の前で切り離されていました。さらに主の手はその地域の人々を腫物で打ち脅かしました。そこでアシュドデの人々はペリシテ領にいる他の領主たちを呼び集めて相談した結果、神の箱をガテというところに移動しました。

(2) ペリシテ領のガテ、その後エクロンへ

ガデでも主は腫物でその町の人々を打ったので、ガテの人々は神の箱をペリシテ領のガデからエクロンヘと移します。しかしやはり主はそこでも人々を腫物で打ち、死の恐怖を引き起こしました。

(3) イスラエル領のベテ・シェメシュヘ

困り果てたペリシテ人は祭司や占い師も巻き込んでどうすべきか話し合います。その結果、神の箱をイスラエルに送り返そうということになりました。その方法について祭司や占い師たちがさまざまな助言をしています。

なぜ、神の箱があった場所に送り返さなかったのか。それはシロがペリシテ人によって破壊されためです。詩篇78:60~64、エレミヤ7:12~15、26:5参照。

新車に載せた神の箱は、2頭の雌牛に引かれてイスラエルの領地であるベテ・シェメシュに移動しました。ベテ・シェメシュという町はレビ人の町のようです(ヨシュア記21:16参照)。その町でも人々は神の箱の中を見たことで、主は激しく彼らを打ちました。その数「五万七十人」(新改訳)とも「七十人」(岩浪訳)とも訳されています。それは二つの写本があるということらしいです。いずれにしても、神の箱の中を見るということはイスラエルの民にとっては全くのタブーだったのです。

(4) 神の箱、キルヤテ・エアリムに運ばれてそこに安置される

ベテ・シェメシュの人々は困り果て、キルヤテ・エアリムの住民に使者を送り、そこへ安置すべく運んでほしいと願った。するとキルヤテ・エアリムの人々はその箱を運び、それをアビナダブの家に運び、その息子エルアザルを聖別して主の箱を守らせました。それから20年の歳月が流れました。


2. 神の契約の箱の移動から見えてくること

  • 5章1節から7章2節までの神の箱の移動のストーリーを通して、私たちが学ばなければならないことは何か、です。そもそもシロにあった主の宮から神の箱を持ち出したことが問題です。しかも奪われた神の箱を見て、その箱の中を見たレビ人の町ベテ・シェメシュの人々も問題です。ペリシテ人ならまだしも、彼らがそのようなことをしたのは、神がモーセを通して与えられた神の律法に対して全く無知であったということが、神の箱の移動事件を通して見えてくる霊的現実です。
  • 聖書をほとんど読まないクリスチャン、聖書に関心をもたないクリスチャンは神についての知識を得ることはできません。神の知恵を持って生きるためには、正しい神の知識が必要です。知恵と知識とは密接な関係をもっています。知恵のない知識は高ぶりをいだかせ、知識のない知恵はうつろです。
  • 士師記の時代から、人々は神のことばを学ぶことが希薄になっていったようです。神の教えを人々に教える教育的システムが機能していなかったようです。それゆえ神の民が神の教えにしたがって歩むことができず、そこから自分勝手な逸脱が起こりました。これは現代の教会に対する警告でもあります。クリスチャンが神のことばを学ぶことを疎かにする時、必ず、神のみこころからの逸脱が起こります。そうした危機感を持ちつつ、神のことばに生きることを再点検する必要があります。教会に行くだけでは不十分です。聖書を読む習慣もなしに、熱心に主の働きをしようとすることはとても危険です。神の知恵をもって生きるためには、絶えず聖書を読み、それを正しく理解し、検証できる知識をも蓄えながら、神の声を聞くという訓練が必要なのではないかと思わされます。

2012.5.19


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