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終わりの日についての幻 (3)幻の解釈〔2〕

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13. 終わりの日についての幻 (2) 幻の解釈〔2〕

【聖書箇所】 11章21節~45節

ベレーシート

  • ダニエル書11章21節「彼に代わって、ひとりの卑劣な者が起こる」にある「彼」をセレウコス4世と解釈し、その後の「ひとりの卑劣な者」をアンティオコス4世エピファネスのことであると解釈するならば、11章21節から45節までの流れは以下のようになります。
  • 21節の「卑劣な者ーアンティオコス4世エピファネス」に関する記述は35節までで、36節から45節までは「アンティオコス4世エピファネス」の再来、すなわち「反キリスト」のことが預言されていると考えられます。

1. ダニエル書11章21~45節のテキスト

  • その視点で、11章21~45節までのテキストにある人称代名詞に実際の名前を入れてみたいと思います。

21 彼(セレウコス4世)に代わって、ひとりの卑劣な者(アンティオコス4世エピファネス)が起こる。彼(同前)には国の尊厳は与えられないが、彼(同前)は不意にやって来て、巧言を使って国を堅く握る。

22 洪水のような軍勢も、彼(同前)によって一掃され、打ち砕かれ、契約の君主(ユダヤの大祭司オニヤス3世)もまた、打ち砕かれる(代わりに自分の意のままになる報酬目当ての異邦人大祭司ヤソンを立てて、ユダヤ人に対する最初の打撃を加えた)

23 彼(アンティオコス4世エピファネス)は、同盟しては、これを欺き、ますます小国の間で勢力を得る(まずは相手と平和条約を結び、後で自分の力を十分についた時点で、その条約を破るというのがアンティオコス4世エピファネスの常套手段でした)

24 彼(同前)は不意に州の肥沃な地域に侵入し、彼(同前)の父たちも、父の父たちもしなかったことを行う。彼(同前)は、そのかすめ奪った物、分捕り物、財宝を、彼らの間で分け合う。彼(同前)はたくらみを設けて、要塞を攻めるが、それは、時が来るまでのことである。

25 彼(同前)は勢力と勇気を駆り立て、大軍勢を率いて南の王(プトレマイオス6世フィロメトール)に立ち向かう。南の王(同前)もまた、非常に強い大軍勢を率い、奮い立ってこれと戦う。しかし、彼(同前)は抵抗することができなくなる。彼(同前)に対してたくらみを設ける者たち(その部下たち)があるからである。

26 彼(プトレマイオス6世フィロメトール)のごちそうを食べる者たち(その部下たち)が彼(プトレマイオス6世フィロメトール)を滅ぼし、彼(同前)の軍勢(エジプト軍)は押し流され、多くの者が刺し殺されて倒れる。

27 このふたりの王(アンティオコス4世エピファネスとプトレマイオス6世フィロメトール)とは、心では悪事を計りながら、一つ食卓につき、まやかしを言うが、成功しない。その終わりは、まだ定めの時にかかっているからだ。

28 彼アンティオコス4世エピファネスは多くの財宝を携えて自分の国に帰るが、彼(同前)の心は聖なる契約(選民であるユダヤ人の信仰)を敵視して、ほしいままにふるまい、自分の国に帰る。

29 定めの時になって、彼アンティオコス4世エピファネスは再び南へ攻めて行くが、この二度目は、初めのときのようではない。

30 キティムの船(ローマの艦隊)が彼アンティオコス4世エピファネスに立ち向かって来るので、彼(同前)は落胆して引き返し、聖なる契約にいきりたち、ほしいままにふるまう。彼は帰って行って、その聖なる契約(ユダヤ人の信仰)を捨てた者たちを重く取り立てるようになる。

31 彼アンティオコス4世エピファネスの軍隊は立ち上がり、聖所ととりでを汚し、常供のささげ物を取り除き、荒らす忌むべきもの(ギリシャの多神教の主神であるゼウス)を据える。

32 彼アンティオコス4世エピファネスは契約を犯す者たち(神の律法を軽んじるユダヤ人たち)巧言をもって堕落させるが、自分の神を知る人たち(神の律法を重んじるユダヤ人)は、堅く立って事を行う。

33 民の中の思慮深い人たち(神を恐れるユダヤの人々)は、多くの人を悟らせる。彼ら(同前)は、長い間、剣にかかり、火に焼かれ、とりことなり、かすめ奪われて倒れる。

34 彼ら(神を恐れるユダヤの人々)が倒れるとき、彼らへの助けは少ないが、多くの人は、巧言を使って思慮深い人(祭司マッカバイオスら)につく。

35 思慮深い人(神を恐れるユダヤの人々)のうちのある者は、終わりの時までに彼らを練り、清め、白くするために倒れるが、それは、定めの時(メシアの再臨)がまだ来ないからである。


36 この王(アンティオコス4世エピファネスの再来である反キリスト、不法の人)は、思いのままにふるまい、すべての神よりも自分を高め、大いなるものとし、神の神に向かってあきれ果てるようなことを語り、憤りが終わるまで栄える。定められていることが、なされるからである。

37 彼(反キリスト)は、先祖の神々を心にかけず、女たちの慕うものも、どんな神々も心にかけない。すべてにまさって自分を大きいものとするからだ。

38 その代わりに、彼(反キリスト)はとりでの神(宗教的権威・経済的力・軍事力をもった偽りの神)をあがめ、金、銀、宝石、宝物で、彼の先祖たちの知らなかった神をあがめる。

39 彼(反キリスト)は外国の神の助けによって、城壁のあるとりで(神の都エルサレム)を取り、彼(反キリスト)が認める者には、栄誉を増し加え、多くのものを治めさせ、代価として国土を分け与える。

40 終わりの時に、南の王が彼(反キリスト)と戦いを交える。北の王は戦車、騎兵、および大船団を率いて、彼(反キリスト)を襲撃し、国々に侵入し、押し流して越えて行く。

41 彼は麗しい国(イスラエル)に攻め入り、多くの国々が倒れる。しかし、エドムとモアブ、またアモン人のおもだった人々は、彼(反キリスト)の手から逃げる。

42 彼(反キリスト)は国々に手を伸ばし、エジプトの国ものがれることはない。

43 彼(反キリスト)は金銀の秘蔵物と、エジプトのすべての宝物を手に入れ、ルブ人とクシュ人が彼につき従う。

44 しかし、東と北からの知らせが彼(反キリスト)を脅かす。彼(反キリスト)は、多くのものを絶滅しようとして、激しく怒って出て行く。

45 彼(反キリスト)は、海(地中海)と聖なる麗しい山(シオンの山)との間に、本営の天幕を張る(ハルマゲドンの戦い)。しかし、ついに彼(反キリスト)終わりが来て、彼(反キリスト)を助ける者はひとりもない。


  • このようにダニエル書は、ギリシア帝国から分かれ出た四つの国の一つから「ひとりの卑劣な者」が起ること、また、二度目のエジプト侵攻の時、ローマ艦隊によって撤退を余儀なくされたことでいきり立ち、彼はエルサレムの神殿を汚し、いけにえを禁止して、荒らす忌むべき偶像を神殿に据えることが預言されていました。そしてこれらすべてアンティオコス4世エピファネスの出来事として成就したのです。
  • ところが、ダニエル書においてはアンティオコス4世エピファネスに関する預言は、単に紀元前2世紀をもって成就したのではなく、それは最初の段階の成就であり、やがて「終わりの時」には、アンティオコス4世エピファネスの再来である反キリストにおいて、最終段階の成就があることを預言しているのです。

2. ダニエルのこの預言を裏付けている聖書箇所

その聖書箇所は以下の通りです。

(1) イエスの発言
「それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。)」(マタイ24:15)

(2) 使徒パウロの発言
「だれにも、どのようにも、だまされないようにしなさい。なぜなら、まず背教が起こり、不法の人、すなわち滅びの子が現れなければ、主の日は来ないからです。彼は、すべて神と呼ばれるもの、また礼拝されるものに反抗し、その上に自分を高く上げ、神の宮の中に座を設け、自分こそ神であると宣言します。」(Ⅱテサロニケ2:3~4)

(3) 使徒ヨハネの発言
「この(海から上ってきた一匹の獣)は、傲慢なことを言い、けがしごとを言う口を与えられ、四十二か月間活動する権威を与えられた。そこで、彼はその口を開いて、神に対するけがしごとを言い始めた。すなわち、神の御名と、その幕屋、すなわち、天に住む者たちをののしった。」(ヨハネの黙示録13:5~6)



2013.8.30


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