****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

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11. 聞きなさい。イスラエル

【読み】
「シェマ　イスラーエール　アドナーイ　エローヘーヌー　
アドナーイ　エハード」

• このフレーズで最も重要な箇所は、最初の「聞け」(シェマ)と最後の「一つ」(エハード)です。特に、「エハード」は意識してはっきりと言うべきです。ヘブル語の聖書では、「シェマ」の第三の子音「アイン」と「エハード」の第三の子音「ダーレト」が特別に大文字で記されています。そこには、イスラエルの民が唯一の神のみを神とし、主として仰いでいこうとする決意が込められているのです。

• イスラエルの民は、この命令をきわめて重要視し、長い世代にわたって、その重要性を体験的に子孫に伝え残していくために、一つの習慣を生み出しました。その習慣とは、4節のフレーズを一息で、息の続く限り伸ばし、息が切れて声が出なくなるまで引き伸ばして読むのです。このことによって、息の続く限り、いのちのある限り、「主は私たちの神、主はただひとりである」という信仰を表明しようとしているのです。

【文法】

• 申命記6章4節の聖句は、頭にある動詞と終わりにある形容詞に挟まれるようにして、三つの固有名詞が置かれています。

(1) 動詞の「シェマ」שְׁמַעは、「シャーマ」שָׁמַעの命令形です。単数形ですから、イスラエルは集合人格だということがわかります。

(2) 三つの固有名詞
①「イスラエル」יִשְׂרָאֵל
②「アドナイ」(2回)　 יהוה(神聖四文字)
③「エローヒーム」אֱלֹהים　「私たちの神」とあり、1人称複数の人称代名詞がついて「エロヘーヌー」אֱלֹהֵינוּとなります。

(3) 形容詞である「一つの」という意味の「エハード」אֶחָדが最後にあります。

【翻訳】

【新改訳改訂３】
聞きなさい。イスラエル。【主】は私たちの神。
【主】はただひとりである。
【口語訳】
イスラエルよ　聞け。われわれの神、主は唯一の主である。
【新共同訳】
聞け、イスラエルよ。我らの神、主は唯一の主である。
【岩波訳】
イスラエルよ聞け。われわれの神ヤハウェは唯一なるヤハウェである。
【NKJV】
Hear, O Israel: The Lord our God, the Lord is one!

【瞑想】

「シェマ」は「聞きなさい」という意味ですが、TEV訳は　Israel, remember this!　「このことを思い出し、心に留めなさい」としています。ここでの「思い出して心に留める」とは、これまで神がしてくださったことを思い起こし、注意を払って考える事を意味しています。エジプトから救い出した神は「主」であり、イスラエルの民が見たように、この「主」の他には神はあり得ないという意味が込められています。

「十戒」の序文には、「わたしは、あなたをエジプトの国、奴隷の家から連れ出した、あなたの神、主である。」とあります。この序文に秘められている事柄を常に思い出し、心に留める時にはじめて、その後の第一戒「あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない。」が意味を持つのです。

神の唯一性を強調するフレーズは、イザヤ書に多く見られます。
(1) 45章5節
「わたしが主である。ほかにはいない。わたしのほかに神はいない。」
(2) 41章4節、44章6節、48章12節
「わたしは初めであり、また、わたしは終わりである」という定式で表されています。

私たちの生存と防衛(あらゆる守り)の保障を唯一の神である主以外に求めるなら、それは自動的に偶像礼拝となるのです。「神である主は唯一である」という真理、あるいは、世界中で「主イエス・キリストの他には救われるべき名はない」(使徒4:12)とする排他的真理は悪魔が最も嫌うものです。

申命記6章においてきわめて重要な真理は、神である主はただひとり、唯一であられるということです。この真理こそイスラエルの民のおきての根本です。この真理こそ、彼らを聖なる民としてこの世のすべての国々と区別するものでした。この真理から離れたときどうなるのか、それを証しているのがイスラエルの歴史です。旧約聖書の歴史書には、「聞きなさい」と言われた唯一の神の真理から離れてしまったことにより、神の大きな取扱いを受けざるを得なかった悲しむべき歴史が記されています。

【付記】