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肉によれば・、聖なる御霊によれば・

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No.4 肉によれば・・、聖なる御霊によれば・・

ベレーシート

  • 神の福音とは、神の御子に関するものであると述べたパウロは、「御子」について以下のように説明しています。脚注

(1) 肉によれば
ダビデの子孫から生まれた方

(2) 聖なる御霊によれば
死者の中からの復活により、力ある神の子として公に示された方

  • 「肉によって」表された人性、「聖なる御霊によって」表された神性、いずれも神の奇蹟によって公に神の子として示された方、すなわち、私たちの主イエス・キリストこそが「福音」そのものだと述べています。(1)と(2)は表裏一体の関係を持っています。一方だけでは「福音」とはならないのです。

1. 肉によれば・・・

【新改訳2017】ローマ書1章3節
御子に関するものです。御子は、肉によればダビデの子孫から生まれ、

画像の説明

1) του  冠詞「ホ」()の属男単
2) γενομένου 動詞「ギノマイ」(γίνομαι)の分詞アオリスト中態属男単。
3) του γενομένουで「生まれた方」と訳す。
4) ἐκ 前置詞「~から」
5) σπέρματος 「子孫、種」を意味する名詞「スペルマ」(σπέρμα)属中単。
6) Δαυiδ 「ダヴィド」、ダビデ
7) κατὰ 前置詞「~によれば」「~に関して」 
8) σάρκα「肉、人間性」を意味する名詞「サルクス」(σάρξ)の対格女単。


  • 「肉によれば」という意味は、御子が人間性をもって生まれたことを意味します。これは神が人となったという神の奇蹟です。この奇蹟なしには、神の福音はあり得ません。「肉」と訳された「サルクス」(σάρξ)をヘブル語にすると「バーサール」(בָּשָׂר)となり、それは「良い知らせを伝える」という意味の動詞「バーサル」(בָּשַׂר)の強意形ピエル態を語源としています。御子が肉体を持たれたことによって、人間の罪の贖い(罪の赦し)が可能となったのです。
  • また、イェシュアがダビデの子孫から生まれたことによって、イスラエルの民に与えられた神のご計画における約束の成就者として公に示されました。つまり、旧約において、預言者たちが全イスラエルに対して語った約束が、イェシュアによって実現する道が開かれたことを意味します。

【新改訳2017】ミカ書5章2節
「ベツレヘム・エフラテよ、あなたはユダの氏族の中で、あまりにも小さい。だが、あなたからわたしのためにイスラエルを治める者が出る。その出現は昔から、永遠の昔から定まっている。」

【新改訳2017】イザヤ書9章6~7節
6 ひとりのみどりごが私たちのために生まれる。ひとりの男の子が私たちに与えられる。主権はその肩にあり、その名は「不思議な助言者、力ある神、永遠の父、平和の君」と呼ばれる。
7 その主権は増し加わり、その平和は限りなく、ダビデの王座に就いて、その王国を治め、さばきと正義によってこれを堅く立て、これを支える。今よりとこしえまで。万軍の【主】の熱心がこれを成し遂げる。

【新改訳2017】Ⅱサムエル記7章12~14節
12 あなたの日数が満ち、あなたが先祖とともに眠りにつくとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子をあなたの後に起こし、彼の王国を確立させる
13 彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしは彼の王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。
14 わたしは彼の父となり、彼はわたしの子となる。彼が不義を行ったときは、わたしは人の杖、人の子のむちをもって彼を懲らしめる。


2. 聖なる御霊によれば・・

【新改訳2017】ローマ書1章4節
聖なる霊によれば、死者の中からの復活により、力ある神の子として公に示された方、私たちの主イエス・キリストです。

画像の説明

1) ὁρισθέντος 動詞「定める、決定する、示す、任命する」を意味する「ホリゾー」(ὁρίζω)の分詞アオリスト受動属男単。
2)υἱοῦ θεοῦ 「神の御子」を意味する名詞「ヒュイオス・セオス」(υἱός θεός)の属男単。
3) ἐν δυνάμει 前置詞「~をもって、~によって」の「エン」(ἐν)の与格。「力」を意味する「デュナミス」(δύναμις)の与女単。
4) κατὰ πνεῦμα ἁγιωσύνης 「~によって」を意味する前置詞「カタ」(κατὰ)の対格、「御霊」を意味する「プニューマ」(πνεῦμα)の対中単、「聖なること」を意味する名詞「ハギオースネー」(ἁγιωσύνη)の属女単。
5) ἐξ ἀναστάσεως νεκρῶν  前置詞「~によって」の「エン」(ἐν)の属格。「復活」を意味する名詞「アナスタシス」(ἀνάστασις)の属女単。「死者の」を意味する形容詞「ネクロス」(νεκρός)の属女単。
6) Ἰησοῦ Χριστοῦ 名詞「イエースース」(Ἰησοῦς)「クリストス」(Χριστός)の属男単。


  • 御子が肉体を持つだけでは不十分です。朽ちる肉体が神の霊によってよみがえり、新しい朽ちることのないからだが与えられなければ、神の新しい戒めを生きることはできないからです。
  • 十字架の死と復活によって、イェシュアは神によって油注がれたメシア、つまり真の預言者、大祭司、そして王であることが啓示されたのです。「イエス・キリストは復活することによって神の御子になられたのではありません。本来、神の御子であられたお方が、死人からの復活によって、神の御子であられることを表わし、公に宣言されたのです。」(尾山令二師)。

脚注
●パウロの手紙の特徴の一つは、しばしば脱線してしまうことです。自己紹介で始まったはずですが、「キリスト・イエスのしもべ、神の福音のために選び出され、使徒として召されたパウロから」と記した途端に、この手紙の中心テーマである「福音」について語り始めてしまっています。映画やドラマで言うならば予告編、つまり本論のプレビューのようなものです。

2017.1.19


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