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雲が天幕を離れるとき、雲がとどまるとき

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88. 雲が天幕を離れるとき、雲がとどまるとき

【聖書箇所】 民数記9章17節

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【読み】
ウーレフィ ヘーラーオート ヘアーナーン メーアル ハーオーヘル
ヴェァハレー ヘーン イスウー ベネー イスラーエール
ウーヴィムコーム アシェル イシュカーン シャーム ヘアーナーン
シャーム ヤハヌー ベネー イスラーエール

【文法】
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【翻訳】

【新改訳改訂3】
雲が天幕を離れて上ると、すぐそのあとで、イスラエル人はいつも旅立った。そして、雲がとどまるその場所で、イスラエル人は宿営していた。
【口語訳】
雲が幕屋を離れてのぼる時は、イスラエルの人々は、ただちに道に進んだ。また雲がとどまる所に、イスラエルの人々は宿営した。
【新共同訳】
この雲が天幕を離れて昇ると、それと共にイスラエルの人々は旅立ち、雲が一つの場所にとどまると、そこに宿営した。
【岩波訳】
雲が幕屋から離れて昇ると、〔それを合図に〕イスラエルの子らは出発するのを常とした。雲が在る場所に留まるたびに、イスラエルの子らはそこに宿営するのを常とした。
【NKJV】
Whenever the cloud was taken up from above the tabernacle, after that the children of Israel would journey; and in the place where the cloud settled, there the children of Israel would pitch their tents.
【NIV】
Whenever the cloud lifted from above the Tent, the Israelites set out; wherever the cloud settled, the Israelites encamped.

【瞑想】

昼間には日陰となる「雲」、夜は火のように輝く「雲」、それは実に不思議な雲です。ずっと動くことなくとどまっている雲など、この世には存在しません。雲はたえず動いており、どんなに曇っていてもやがては晴れます。もし雲が動くたびに移動していたとしたら、気まぐれな雲の動きに翻弄されて疲れてしまいます。ところが神の臨在を象徴する「雲」は、灼熱の太陽を覆って身を守ってくださるだけでなく、出発や移動を促す「時」を知らせる役割もあったのです。この雲はまっすぐに立っており、「雲の柱」と呼ばれています。「柱」は「アムード」(עַמּוּד)で「雲の柱」「火の柱」として民を守り導きました。

イスラエルの民たちはこの雲が幕屋から離れ上ったときに旅立つことになります。雲が動かなければイスラエルの民はそこにとどまり続けました。したがって、イスラエルの民はいつも「雲」を見ていなければなりませんでした。

「旅立った」と「宿営した」の二つの動詞は民数記の特愛用語です。「旅立った」と訳されるヘブル語は「ナーサー」(נָסַע)です。本来は「天幕の杭を引き抜く」という意味で、出発する、旅立つ、移動するという意味になります。旧約146回のうち、民数記は89回使われています。もうひとつの「宿営した」と訳されるヘブル語は「ハーナー」(חָנָה)です。本来は「(陽が)傾く、野営する、天幕を張る」という意味で、そこから「とどまる」という意味が派生しています。旧約143回のうち、民数記では74回も使われています。

雲の導きによってただちに「旅立つ」ことは、ある意味で変化のある楽しい時かもしれませんが、いつ動くともなくじっとある場所に「宿営する」(とどまっている)ことは、ある人にとっては苦痛かもしれません。しかし主にある者たちの歩みにおいては、「とどまる」ことをしっかりと学ぶ必要があるのです。なぜなら、イエスはしばしば弟子たちにそのことを強調して教えられたからです。「わたしにとどまっていなさい」と。それは神の臨在の雲の中で主との親しい交わりのときを過ごすことだからです。

雲がとどまるのは、主との親しい交わりへと招くためです。出エジプト記24章15~18節にはこうあります。

15 モーセが山に登ると、雲が山をおおった。
16 主の栄光はシナイ山の上にとどまり、雲は六日間、山をおおっていた。七日目に主は雲の中からモーセを呼ばれた。・
18 モーセは雲の中にはいって行き、山に登った。そして、モーセは四十日四十夜、山にいた。

主はモーセを雲の中から招きました。そしてモーセその雲の中に入って40日間、主との親しい交わりをする機会に恵まれたのです。神の臨在の象徴である雲の中に入ることは、神との親しい交わりに招かれるしるしです。やがてそこから新たな新鮮な旅立ちがはじまるのです。


2013.5.13


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