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2. 士師記の構造

歴史書(1)の目次

士師記2. 構 造

士師記の構造は以下の三つの部分から成っている。

画像の説明

  • 士師記は、「さて、ヨシュアの死後」(1章1節)で始まり、「そのころ、イスラエルには王がなく、めいめいが自分の目に正しいと見えることを行なっていた。」(21章25節)で終わっている。

①優れた指導者を失うことによって、イスラエルの民は重大な危機に直面する。すでにヨシュアはそのことを見抜いていた。ヨシュア24章19節、31節、士師記2章6~9節。
   

②はじめと終わりのことばは、民を真の神と正しい信仰に導く指導者の存在がいかに重要であるかを示唆している。
 

(1) 序 論(1章~3章6節)
   

①序論aでは、ヨシュアの死後、イスラエルの人々がカナンの地を完全に占領することに失敗したことを記している。その理由は、脚注を参照。

②序論bでは、士師の時代に起きた様々な出来事をひとまとめにした概略が記されている。その概略の一つは、長老たちが死んだ後、「主を知らない世代が起こった」こと(2章10節)である。「主を知らない世代がもたらしたこと」

a. カナン人と同盟を結んだ(2章2節)
b. 雑婚が起こった(3章6節)
c. 雑婚によって異教の影響を受け、主を捨てて偶像を拝むようになったこと(2章13節、3章6節)

③もう一つは、悪のゆえに主の刑罰を受け、士師によって救出されるが、彼らが死ぬといっそう堕落した新しい世代が起こったという悪循環である。


(2)本 論(3章7節~16章31節)
 

  • 士師記では13人の士師たちが登場するが、そのうち特筆すべき士師は4人である。

①「女預言者デボラ」
天下分け目の決戦! が行なわれた。それまではイスラエルはおもに山地に住んでいた。なぜなら、低地(谷)に住む敵は鉄の戦車を持っていたからである。鉄の戦車九百両を誇るカナンの王ヤピンとその将軍シセラとの戦いにおいて、敵を全滅させた。
a. 「主はあなたの前に出て行かれる」(4章14節)との信仰。実際には、神が豪雨を降らせて地をぬかるみ状態にして、敵の戦車を全く役立たたないようにした。5章4節。そこに指揮官バラクは奇襲をかけて勝利した。
b. デボラの歌(5章)「目覚めよ、起きよ、主をほめたたえよ」 賛美よって神のストーリーを語ろう。

②「セルフイメージの低いギデオン」
ミデヤン人は収穫期を襲い、刈り入れの実を略奪していく敵であった。敵は13万5千の大軍。しかしギデオンに敗れ、聖書の歴史から姿を消した。
a. ギデオンの自己像・・「私の分団マナセのうちで最も弱く、私の父は家で一番若い」(6章15節)  
b. 300人の精鋭隊の選抜。神が必要とされた人数。彼らに見る臨戦意識。
c. ギデオンの失敗・・・彼は権力の誘惑には勝利したが、性(多くの妻とそばめ)と物欲(戦利品の金)に目を奪われた。後に彼はその実を刈り取ることになる。具体的には、身内の事件として、そばめの子アビメレクが本妻の息子たち(70人)に対して謀反を起こし殺すという悲劇が起こった。

③「私生児のエフタ」
イスラエルの東北の地域におけるアモン人に対して戦い勇士。
a. 不幸な出生。遊女の私生児としての悲哀を味わう。正妻の息子たちから除け者にされ逃亡する(11章2節)。
b. 逃亡先の「トブの地」における神の訓練。彼のもとにめぐまれない者たちが集りようになる。彼はそのリーダーとしての手腕を磨く。やがて彼を追い出した者たちから招かれて民のかしらとされる。

④「怪力のナジル人サムソン」
イスラエルの南西の地域におけるペリシテ人に対して戦った勇士。
a. 「主のものとして身を聖別するための特別な誓いをした者」・・ナジル人として育てられた。
b.  臨戦意識を喪失したサムソンの波乱に富んだ生涯は、イスラエルの歴史そのものであった。


(3) 結 論(17章~21章)

  • 結論の部分においては、イスラエルの歴史における第二の危機、すなわち《王制の導入》を裏付ける二つの語句がみられる。これらは、サムエル記で扱われる主題の序文的記述といえる。

①「そのころ、イスラエルには王がいなかった」(4回)⇒17章6節、18章1節、19章1節、21章25節

②「めいめいが自分の目に正しいと見えることを行なっていた」(2回)⇒17章6節、21章25節


脚注

なぜイスラエルはカナンを完全に占領することができなかったか。
①敵が鉄の戦車を持っていたから(ヨシュア17:16、18、士師1:19、4:3、13)。 
②山地を占領したことで満足してしまったから(戦いよりも安住を選んだ)  
③征服した土地が12部族に分割したことで一体となって戦うという体制が解体してしまったから。 
④偉大な指導者を失ったから
・・・・等の理由が考えられる。


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