Ps59の「かかわりの構造」
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- 詩篇59篇のかかわりの構造はきわめてシンプルですが、ここにすばらしいダビデの霊性を見ることができます。その霊性とは、不条理な敵の迫害にもかかわらず、神への信頼を強めていることです。ここでは特に、「あなたは私のとりでです」という信仰告白に目を留めてみたいと思います。「とりで」訳された名詞は「ミスガーヴ」(מִשְׂגָּב)です。「要塞」、あるいは「拠点」を意味します。旧約で17回のうち13回が詩篇で用いられています。詩篇59篇では3回(9, 16, 17節)登場します。
- 「とりで」(名詞)の元となっている動詞は「サーガヴ」(שָׂגַב)で、「高く上げる、高い所に置く」という意味です。詩篇59篇では2節に使われています。「私に立ち向かう者が届かぬほど、私を高く上げてください。」(2節)。つまり、聖書では「とりで」によって守られることを、「高く上げる」と表現しています。20:2/69:30には、「高くしてください」と神に祈っています。詩篇91:14では、神が神に信頼する者に対して「わたしは彼を高く上げよう」と約束しておられます。その詩篇にも「(主は)わがとりで」との告白があります(2節)。
- この詩篇の祈りにおけるダビデの霊性は御子イエスの霊性につながっています。この詩篇の祈り、特に、「私に立ち向かう者が届かぬほど、私を高く上げてください。」(2節)は、御子イエスにおいて実現していると言えます。
- 御子イエスは十字架の苦しみにもかかわらず、信頼を貫き通したことで、御父は御子を死からよみがえらせ、天上のご自分の右の座に着かせて、「すべての支配、権威、権力、主権の上に、また、今の世ばかりでなく、次の世においてもとなえられる、すべての名にまさる名の上に高く置かれました。」とあります(エペソ人への手紙1:21)。
- ピリピ書2:8では、「それゆえ、神は、キリストを高く上げて、すべての名にまさる名をお与えになりました。・・それはすべての口が、『イエス・キリストは主である。』と告白して、父なる神がほめたたえられるためです。」と記されています。
- 私たちが自分の要塞を、自分の人生の拠点(本丸)をどこに置くかは重要なことです。「主は私のとりで」との告白の裏には、すでに寄り添ってくださっている御霊の助けがあると確信してよいのです。もし、神以外のものをとりでとするなら、それは服のボタンの掛け間違えたようなもので、しばらくはわからなくても、やがてはその結果が明らかとなります。最初のボタンを掛け間違えないようにしなければなりません。
- ダビデの神に信頼する霊性は、御子イエスの霊性をあかしています。私たちがこの御子イエスにつながり、とどまるとき、私たちも同様に、キリストとともに「高く引き上げられる」のです。
- You Raise Me Up
高く引き上げてくださる あなたの愛
あなたの支えがあれば、 私は強くなれる