ダビデの祖先であるユダの系図
2. ダビデの祖先であるユダの系図
【聖書箇所】Ⅰ歴代誌 2章1~55節
ベレーシート
- Ⅰ歴代誌2章は、イスラエルの息子たちの名前が記されています。その名前の記載の順序はユダまでが正しいですが、そのあとは順不同です。12人の名前の中で、4番目のユダに焦点が当てられています。なぜなら、そこからこの歴代誌の中心人物である「ダビデ」が登場してくるからです。ダビデの先祖となるユダの血筋の系譜の本流と支流が記されています。
- 歴代誌はバビロン捕囚から解放された人々によって書かれています。解放されて帰還した人々にはユダ族、レビ族、そしてベニヤミン族の末裔たちがいました。彼らはバビロンの地で神によって取り扱われ、トーラー・ライフスタイルを回復しました。その彼らが神の民としての明確なアイデンティティーを確立し、その信仰を後の世代に継承する責任がありました。系図の作成は自分たちの歴史を振り返り、危機意識をもって信仰を継続しようとする上で、彼らにとっては必要不可欠な取り組みであったと言えます。しかし、神の民の本流を示す系図の資料が残されていたことは、驚きというほかありません。
1. ユダの系図の本流
- ユダは自分の長子エルのために、タマルというカナン人の女性を妻として迎えたと聖書に記されています。父親が自分の息子のために妻を迎えさせるというのは古くからの慣習としてあったようです。アブラハムの自分の息子イサクのために、その妻を捜してくるよう最も信頼できるしもべに頼んでいます。しかしイサクの息子たちは、自分で自分の妻を捜したことで苦労をしています。イスラエルの息子であるユダ自身もカナン人の女性を見つけて結婚しています。ユダの系図の本流の中には、このように、異邦人であるカナン人、モアブ人の血が入っています。そしてそのような系図の中から、ダビデが登場し、またイエス・キリストが登場しているのです。
- ユダの系図については、創世記38章にも記されています。そこに記されているユダの系図は決してきよいものではなく、ある意味、汚れていることがありのままに記されています。
2. ユダ族の本流
- 創世記38章に見られるユダの系図と歴代誌の系図を比較してみると、ダビデへと至るユダの系図の本流には、創世記に記されてあるような汚れた面が一切記されていないということです。むしろ逆に、支流の系図に中に起こった汚点のコメントが記されています。
(1) ユダの長子エルが主の目の前に悪を行なったため、主が彼を殺したということ。
※主の目の前に行なった悪の内容については触れられていませんが、主が彼を殺さなければならないほどのものであったことは確かです。
(2) ユダとタマルの間に生まれた双子の兄弟(ペレツとゼラフ)のうち、支流となる「ゼラフ」の流れの中に聖絶のもののことで罪を犯し、イスラエルにわざわいをもたらす者となったにアカンのことが記されています。
※「聖絶のもの」と訳されたヘブル語は「へーレム」(חֵרֶם)です。このことばの意味は、神のためにささげられたもの、神のために聖別されたものという意味です。この語彙は、神の強い所有を表わし、決して人がこれを自らの所有としてはならないもの。あるいは逆に、それを完全に破壊することによって神の所有としてささげることを意味します。ところがアカンは「神の所有」を自らのものとしたために、イスラエルの全部族は戦いに敗れ、その罪ゆえにアカンも彼の家族も、石打ちの刑にあわなければなりませんでした。
3. ダビデは、アダムから数えて33代目の本流
(1) 1~10代目(アダム~ノア)
アダム➡セツ➡エノシュ➡ケナン➡マハラルエル➡エレデ➡エノク➡メトシェラ➡レメク➡ノア
(2) 11~20代目(セム~アブラハム)
➡セム➡アルパクシャデ➡シェラフ➡エベル➡ペレグ➡レウ➡セルグ➡ナホル➡テラ➡アブラム(アブラハム)
(3) 21~30代目(イサク~ボアズ)
イサク➡イスラエル(ヤコブ)➡ユダ➡ペレツ(パレツ)➡ヘツロン(エスロン)➡ラム(アラム)➡アミナダム➡ナフション(ナアソン)➡サルマ(サルモン)➡ボアズ
(4)31~33代目(オベデ~ダビデ)
➡オベデ➡エッサイ➡ダビデ
●アダムからダビデまでの33代を全部覚えよう!!
2013.12.11
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