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創世記1章~11章までの主要な出来事

創世記 2. 創世記1章~11章までの主要な出来事

画像の説明

(1) 天地創造(1章)

聖書の神は唯一にして創造主なる神である。被造物とは完全に区別される存在。日本においてはこの創造主という概念はきわめて希薄である。

①「はじめに神が」
神は永遠なる方として、すべての創造の前提として存在する。

②「創造した」(バーラー)・・これは神の行為を表わすことば。神はみことば(意思)をもって天地万物を創造された。へブル11章3節参照。

③「神概念を表わす神の名」

  • a.神(エロヒーム)
    人間とは無関係に存在する神の概念。唯一、永遠、完全、不変、全知、全能、偏在・・の神を表わすことば)
    b.神である主(ヤーウェ)
    主なる神とも言い、人間の創造とともに、人間と交渉をもたれる神概念。特に、神の救いのみわざに関わる方として、愛、義、公正、真実、恵み、あわれみ深い方としての神を表わすことばとして用いられる。

(2) 創造の冠としての人間の創造(1、2章)

それ以前の創造は人間が生きるための舞台設定。

①「神のかたち」に造られた人間
人間は被造物の中でも特別な目的で、特別な方法で神によって造られた存在である。神はすべての植物や動物を「種類にしたがって」造られたが、人の場合は「神のかたち」に似せて造られた(1:26,27)に「かたち」ということばが3回繰り返されている)。この事実こそ、他の被造物から区別された創造の冠としてのユニークな存在理由がある。

②「神のかたち」とは何か
それは、外見的なかたちを指すものではない。なぜなら、神は霊なる方だからである。「神のかたち」とは、
a. 神の霊を持つ存在である
「神である主は、・・その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで、人は生きものとなった。」(2章7節)
b. 人格的存在である
人格的存在とは交わりによって生かされる存在である。それは三位一体の神(父、子、御霊)が持っているゆるぎない永遠の関係であり、それは人間の男と女の関係において投影される。

  • このように、人は「霊的・人格的存在」として神との交わりを必要とし、また、男・女、あるいは人間同士との交わりを必要とする。それゆえ、「人はひとりでいるのは良くない」のである。人格的存在とは、その存在が認められ、受け入れられ、喜ばれ、愛されることによってはじめて輝き出す存在なのである。そのような扱いを受けることがなければ、その存在は輝きを失い、心に大きな傷を受けることになる。

③「ふさわしい助け手」の創造
a. 対等性
女が男から取られたとい創造の秩序を認めつつ、神の前に対等の存在。
b. 相補性
自分にはないもの補ってくれるかけがえのない存在。
c. 自己投影性
自分を映し出す鏡として、自分自身を知るための大切な存在。

④「結婚の秘儀」
「男はその父母を離れ、妻と結び合い、二人は一体となる」(2:24)一体となることによって神のかたちが成立する。

(3) 堕罪(3章)・・・人間の罪の起源

① へびの誘惑
a. 疑心を起こさせた  
b. 偽りの知識(情報)を与えた
サタンの化身であるへびの意図は、人をして神のことばを全く信頼して従うという立場から引き離すことであった。

② 堕罪の結果
a. 目が開かれ裸であることを知った 
b. 腰を覆った 
c. 神の御顔を避けた
d. エデンの園からの追放(それは神との交わりの死を意味する)

人がサタンの言うことに聞き従ったとき、目が開かれ自分が裸であることを知った。そのことによって恐れや羞恥心、臆病、嘘、良心の呵責、罪責感、責任転嫁等が生じた。彼らは「いちじくの葉をつづり合わせて腰に巻いた。それは人が自分の状態を自分の考えで改善しようと最初の記録である。宗教とキリスト信仰との違いは、前者が自分は裸であるという意識から発して自己の状態を改善しようとする努力の営みであるのに対し、キリスト信仰は人が義の衣を着せられるという恵みの事実から出発している。

(4) 原福音(3章15節)

神が人間のために立てた救済計画の最初の直接的預言
「女のすえ」(単数)は、サタンとの戦いにおいて傷つくが、いつの日にかサタンの頭を砕いて、これを完全に打ち破るであろうという預言。人が罪によって離反して後、はじめて、贖い主の約束を与えられた箇所である。原福音ともいわれている。

(5) 人類の中で働く罪の増大(4章~9章)

① 家庭(4章) 
a. 人類最初の殺人(カインとアベル)
b. 一夫多妻制の移行(レメクは全生涯を神から離れて生きた)
カインとレメクの罪の恐るべき影響が人類に及んだとき、「そのとき、人々は主の御名によって祈ることを始めた」(4:26後半)と記されていることは重要である。なぜなら、この時点において、はじめて礼拝(祈り)の共同体が存在したからである。

② 文明(6章)
雑婚による信仰心の消滅〔「神の子たち」(堕落した天使たち)と「人の娘たち」(カイン族とセツ族の娘たち)〕
ネフィリムは雑婚の産物、神に対する徹底的な不信仰の時代が出現した。
「神の子ら」(「ベネー・ハーエロヒーム」בְּנֵי הָאֱלֹהִים)はヨブ記2章1節にも登場し、「御使い」のことだということが分かります。

③ 洪水(6~8章)
1年と10日におよぶ洪水期間は、取り返しのつかないまでに腐敗した地上を新しくするための神の最初の審判であった。ノアとその家族だけは神に忠誠であったゆえに、箱舟によって神の審判から助け出された。これはキリストによる救いの型である。

④ 出発(9章)
ノアとその家族は箱舟から出ると主に祭壇を築き、礼拝をささげた。神はノアと契約を結び、洪水によって滅ぼすことはしないことを約束した。聖書の中ではじめて「契約」という言葉が登場する。また、その契約としての虹は神の約束のしるしである。

(6) 諸国民のはじまり(10~11章)

① ヤペテの子孫
② ハムの子孫
ニムロデは最初の世界帝国の建国者となった。彼はニネベの都を建設した。11章のバベルの塔はニムロデの帝国の中心地であったと言われている。「ニムロデ」(נִמְרֹד)という名前の中に「マーラド」(מָרַד)という動詞が含まれていますが、それは「(神に)反逆する」という意味です。
③ セムの子孫
この系列からアブラハムへとつながっていく。

(7) バベルの塔の建設(11章)

塔の建設の意図は、神に対する反逆行為を計ることであった。しかしこの企ては神によって阻まれる。これは洪水後の神の第二の審判である。具体的には、人々の言語が混乱させられ、コミュニケーションが取れなくなった。

(8) アダムからアブラハムへの系図(11章)

11章10節以降は、12章からはじまるイスラエルの民(へブル民族)との重要なつなぎ目となっている。この系図によって、〔アブラハム→父テラ→セム →ノア→セツ→アダム〕とつながっていることが確認される。


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