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「エリヤとエリシャの時代背景」

列王記の目次

「エリヤとエリシャの時代背景」


  • 藤本満牧師(2012.2~現在、インマヌエル総合伝道団の代表)が「エリヤとエリシャ」(いのちのことば社、1999年発行)という本を書いておられます。祈祷会で語られた説教がまとめられたようですが、その本の中の最初に「時代背景」について一講を割いています。そこから少し引用させていただきます。

「父が酸いぶどうを食べたので、子どもの歯が浮く」(エレミヤ31:29)
これは、イスラエルに伝わる格言の一つである。父親が酸っぱいぶどうを食べ、その結果、子どもの歯が浮くという。家庭における親の影響力の大きさを伝えている。親の言動・信仰・考え方、そうした生活のすべてが子どもたちに影響を与える。そして、往々にして、蒔かれた苦々しい種の結末を刈り取るのは、親ではなく、次の世代の子どもだという。

このことを北のイスラエル王国の歴史は証明している。ソロモンの死後、国はヤロブアム率いる北のイスラエル王国とレハブアム率いる南のユダ王国の二つに分裂した。北のヤロブアムは、宗教の中心であるエルサレムが南の王国にあり、このままでは民が徐々に南になびくことを懸念し、一策を講じた。金の子牛を二つ造り、それを国の上限と下限に位置するダンとベテルに据え、祭司を一般公募で集め、独自の宗教体制を設立したのである。「このことは罪となった」(Ⅰ列王12:30)と、ヤロブアムの行動は、厳しくストレートに弾劾されている。

二代目の王ナダブ・・「彼の父の道に歩み、父がイスラエルに犯させた彼の罪の道に歩んだ。」(15:26)
三代目の王バシャ・・「主の目の前に悪を行ない、ヤロブアムの道に歩んだ。」(15:34)
四代目の王エラ・・「同」(16:13)
五代目の王ジムリ・・「罪を犯して主の目の前に悪を行ない、ヤロブアムの道に歩んだ。」(16:19)

(続いて)
罪は世代から世代に引き継がれていく。・・・ヤロブアムから数えて六代目の王オムリになっても、「彼はネバテの子ヤロブアムのすべての道に歩み、イスラエルに罪を犯させ・・主の怒りを引き起こした」(16:26)。相変わらずであった。ただ、引き継がれた罪の力は鬱積し、悪の影響は蓄積し、オムリに至っては「彼以前のだれよりも悪いことをした」(16:25)とある。

まだ先があった。
「オムリの子アハブは、彼以前のだれよりも主の目に悪を行なった」(16:30)と続く。何と、親子二代で<史上最悪>という不名誉な記録を塗り替えてしまったのである。

後のエレミヤの言葉は、偶像礼拝とアハブの関係を皮肉に諷していると言えよう。
「クシュ人がその皮膚を、ひょうがその斑点を、変えることができようか。もしできたら。悪に慣れたあなたがたでも、善を行なうことができるだろう。」(エレミヤ13:23)
・・クシュ人とその皮膚の色、あるいはひょうとその斑点模様、生まれついた両者の関係にはまるで違和感はない。それと同じように、イスラエルは罪に習熟し、罪に生きてきたわけである。同じエレミヤ書で、神はまた、次のようにイスラエルを責めておられる。
「わたしの声に聞き従わないということ、これが、若いころからのあなたの生き方だった」(同22:21)。

・・大本をただせば、ソロモンへたどり着く。知恵者ソロモンは、晩年に気が付いてみると、千人の女性を妻とするほどの愚か者に成り下がっていた。数多くの異教の妻たちは彼の心を惑わし、ソロモンはシドン人のアシュタロテ信仰、アモン人のミルコム(モレク)信仰に従い、エルサレムの東にある山の上に「高き所」を築いて、モアブ人のケモシュ信仰、アモン人のモレク信仰を許容した(11:3~8)。

先代が食べた酸いぶどうの実は、次々に子どもたちの歯を浮かし、こうしてたどられた罪の歴史は、アハブにおいて頂点を極めるのである(16:30)。
・・
オムリは在位16年、アハブは在位22年と、北のイスラエルでは決して短命ではなかった。少なくとも、以前の王たちに比べると、国情も安定し、民は繁栄を見ることができた。だが、イスラエルの顔は笑っていても、肋骨はすでに体から抜け落ちていた、神のさばきのしるしも読み取れず、人々は悪国の時代を受け入れ、その中にどっぷりとのまれていた。

(「エリヤとエリシャ」(8~14頁より抜粋引用)


2012.11.3


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