礼拝用語Ps70
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詩70篇「愛する」אָהַב アーハヴ
〔カテゴリー信頼〕
4節b「あなたの救いを愛する人たちが、『神をあがめよう。』と、いつも言いますように。」
Keyword; 「愛します」 love, 5:11/26:8/31:23/40:16/69:31/97:10/116:1/119:47, 48, 97, 113, 119, 127, 132, 140, 159, 163, 165, 167/145:20/
- 旧約では「愛」を意味する二つの名詞があります。一つは、ヘセド(חֶסֶד)-英語ではmercy, loving-kindness, unfailing love, great love, kindness, 日本語では「恵み」(新改訳)、「いつくしみ」(口語訳)、「慈しみ」(新共同訳)と訳されますー。契約に基づく愛です。イスラエルの神の契約の愛に適用されます。本来、このヘセド(חֶסֶד)は、熱心、着実、誠実、あわれみ、いつくしみを意味しますが、すべては契約の範囲においてのみ理解されるべきものです。
- もう一つの愛の名詞は、アハヴァー(אַהֲבָה)―英語ではlove, friendship,日本語では、いずれも「愛」と訳されますー。それは選びの愛、無条件の愛です。その動詞はアーハヴ(אָהַב)。旧約聖書では215回使われています。それはいかなる契約の条件によっても制限されることなく、ただひとり愛する者の意志ないし本質に起因するものです。実際には、父が子に、神がイスラエルに対して注がれる愛に用いられますが、神とイスラエルの間に契約が存在することの基盤そのもの、また唯一の原因です。
- このように、アハヴァー(אַהֲבָה)は契約の原因であり、ヘセド(חֶסֶד)はそれを存続させる熱心さです。(このことについては、N・H・スネイス著『旧約聖書の特質』日本基督出版社のすぐれた本を参照のこと) 詩70篇4節にある「愛する」ということばはアーハヴ(אָהַב)です。本来は、神が人に示される愛ですが、それを神が人に求められる時、「心を尽くし、精神を尽くし、力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい。」(申命記6章5節)となります。これは神のアーハヴ(אָהַב)の反映と言えます。愛されて愛する、選ばれて選ぶという主体的自立的な愛です。
- ユダヤ人の哲学者マルチン・ブーバーは、自著『対話的原理』の中で、この世界には二つの関係しか存在しないとしました。ひとつは「我―汝」のかかわり、もう一つは「我―それ」のかかわりです。すべてのかかわりをこのような二つの関係で見る見方は、アインシュタインの相対性原理にも匹敵する20世紀の偉業だと言われています。
- 契約の愛(結婚の愛)は、相手に対する責任と誠実さが求められます。もしその責任が果たされなければ契約は破棄されても致し方ありません。しかしその契約が破棄されたとき、別なサイトの愛が存在します。それがアブラハム契約であり、選びの愛です。神の一方的な、変わることも失われることもない永遠の愛(אָהַב)をもって、神は新しいかかわりを創造し、回復させてくださったのです。