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永遠、不変を象徴する「塩の契約」

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民数記の目次

16. 永遠、不変を象徴する「塩の契約」

【聖書箇所】 18章1節~32節

はじめに

  • 民数記18章には珍しいことばが登場します。それは永遠の「塩の契約」(「ベリート・メラハ」בְּרִית מֶלַח)という用語です。聖書では2回使われています。ひとつは民数記18章であり、もうひとつは歴代誌第二の13章です。「塩の契約」とは何か、また、それがなぜ民数記18章と歴代誌第二13章に使われているのか、その必然性は何かについて瞑想してみたいと思います。
  • ここで「塩の契約」とあるのは、神の契約が不変的なものであることを指し示すと考えられます。珍しいことですが、民数記18章では主がアロンに直接語られています。歴代誌第二13章における「塩の契約」について、新聖書辞典は次のように説明しています。

南ユダ王国のアビヤ王は、反逆の北王国ヤロブアム王との戦いに臨んで、「主が,イスラエルの王国をとこしえにダビデに与えられたこと、すなわち、塩の契約をもって,彼とその子らとに与えられたことは、あなたがたが知らないはずはあるまい」(Ⅱ歴13:5)と呼びかけ、「イスラエル人よ。あなたがたの父祖の神、主と戦ってはならない。とうてい勝ち目はないからである」(Ⅱ歴13:12)と警告した上で、自軍に倍するイスラエル軍に、主にあって勝利を収めた。

アビヤが言及しているダビデへの神の契約は、Ⅱサムエル7章8〜16節に記されている。「あなたの家とあなたの王国とは,わたしの前にとこしえまでも続き,あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ」(Ⅱサム7:16)。この契約をアビヤが「塩の契約」と呼んだのは、永遠の契約の別称であり、不変の契約であることを意味していた。


1. アロンとその子孫に対する祭司職の不可侵性

  • 民数記16章のコラの反乱、そして17章の芽吹いて実を結んだアロンの杖。これらの出来事を通して、祭司職はアロンとその子孫に対してのみ、神が賜物として与えたことを教えるために18章が存在するということです。4節に「彼らがあなたに配属され、天幕の奉仕にすべてにかかわる会見の天幕の任務を果たす。ほかの者があなたがたに近づいてはならない。」とあるように、会見の幕屋の働きをするレビたちは、すべて祭司であるアロンとその息子たちに配属され、その権威と指導の下で仕えることが規定されています。これはレビ人の務めの重要な特徴です。すべてはみなアロンの直属の統制と指導の下に置かれたのです。これは神が定めた不変の掟でした。

2. 会見の天幕に仕える祭司とレビ人たちの報酬について

【新改訳改訂第3版】民数記18章

8 【主】はそれから、アロンに仰せられた。「今、わたしは、わたしへの奉納物にかかわる任務をあなたに与える。わたしはイスラエル人のすべての聖なるささげ物についてこれをあなたに、またあなたの子たちとに、受ける分として与え、永遠の分け前とする。
9 最も聖なるもの、火によるささげ物のうちで、あなたの分となるものは次のとおりである。最も聖なるものとして、わたしに納めるすべてのささげ物、すなわち穀物のささげ物、罪のためのいけにえ、罪過のためのいけにえ、これらの全部は、あなたとあなたの子たちの分となる。
10 あなたはそれを最も聖なるものとして食べなければならない。ただ男子だけが、それを食べることができる。それはあなたにとって聖なるものである。

19 イスラエル人が【主】に供える聖なる奉納物をみな、わたしは、あなたとあなたの息子たちと、あなたとともにいるあなたの娘たちに与えて、永遠の分け前とする。それは、【主】の前にあって、あなたとあなたの子孫に対する永遠の塩の契約となる。」

  • 「永遠の分け前」(新共同訳は「不変の定め」、口語訳は「永久に受くべき分」、関根訳は「永遠の定め」と訳す)という語彙は旧約では7回(出29:28/レビ6:18, 7:34, 24:9/民18:8, 11, 19)使われていますが、すべてアロンとその子どもたちに対して与えられるものを意味しています。このようにして主はアロンとその子たちの生活の保障をされたのです。これが「塩の契約」と言われるものです。
  • 会見の天幕の奉仕をするアロンとその子たちに対して、イスラエルの会衆は什一をささげる義務がありました(18:21)。また、レビ人も受ける什一の中から什一を主にささげる義務がありました(18:26)。やがて約束の地においては、祭司もレビ人も他の部族のようには土地の相続財産は与えられませんでした。祭司とレビ人の生活はイスラエルの会衆の主への信仰と従順と密接なかかわりをもっていたのです。
  • 時代が進んでソロモン王が亡くなってから、イスラエルは北王国と南王国に分裂します。北王国のヤロブアムは祭司を神の定めたアロンの系列とは別に擁立しました。それによって北王国の多くの祭司やレビ人がリストラされたのです。リストラされた祭司やレビ人は南王国へと移り住みます。そして南王国の滅亡とともにバビロンへと捕囚されます。そこでレビ人たちは神の律法(トーラー)を学び、そこから新たな神の光が与えられ、その後、イスラエルへ帰還し、エズラ(彼も祭司の末裔)のような指導者によって神殿が再建されることとなったのです。

3. 恵みの手段としての什一献金

  • 旧約時代においては、祭司職はアロンとその子孫に与えられた不可侵的定めでしたが、新約時代に生きる私たちは大祭司であるキリストにつながることにより、だれでも聖なる祭司とされています。祭司は礼拝に携わる働きをした人々ですが、キリスト者も同様に礼拝する者として霊のいけにえをささげる者とされています。それゆえ、「塩の契約」を与えられたアロンの祝福が私たちにも流れているのです。
  • 「什一献金」の勧めは、私たちが礼拝者として生きるために、神が生活の保障をしてくださるという恵みを覚えるための手段なのです。私たちに与えられるすべての什一(十分の一)は本来、神に感謝と信頼のあかしとして神に返還するものであり、それによってすべては神が保障してくださるという信仰を表明する手段なのです。この什一が重荷となるとき、神が自分の生存と防衛の保障をしてくださるという信仰が希薄となり、不安と恐れの中に置かれることになるのです。その意味で、什一は恵みの手段なのです。また什一は自分のすべてを神にささげるという献身の祝福の関門ともなるのです。

2012.2.11


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