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ダニエルの見た第二の幻 「雄羊と雄やぎ

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9. ダニエルの見た第二の幻 「雄羊と雄やぎ」

【聖書箇所】 8章1節~27節

ベレーシート

  • ダニエルはベルシャツァル王の治世第三年目に「第二の幻」を見ました。バビロンにいるはずのダニエルはその幻の中では、バビロンより西500㌔ほどのところにあるペルシャの首都スサ(シュシャン)の城にいました。「第二の幻」は「一頭の雄羊」と「一頭の雄やぎ」です。

1. ダニエルの見た第二の幻とその意味

  • ダニエルが見た第二の幻の意味を悟りたいと思っていた時、御使いのガブリエルが彼の前に現われて、「悟れ。人の子よ。その幻は、終わりの時のことである」と言いました。ダニエルは意識を失って地に倒れましたが、御使いはダニエルを立ち上らせて、再度、「見よ。私は、終わりの憤りの時に起こることを、あなたに知らせる。それは、終わりの定めの時にかかわるからだ。」と言って、その幻の解き明あかしをしたのです。その解き明かしと少々の説明を加えて、聖書を引用してみたいと思います。

【新改訳改訂第3版】ダニエル書 8章2~12節

2 私は一つの幻を・・見ていると、3 なんと一頭の雄羊(ペルシャ)が川岸に立っていた。それには二本の角(メディャ・ペルシャ)があって、この二本の角は長かったが、一つはほかの角よりも長かった。その長いほうは、あとに出て来たのであった。4 私はその雄羊(ペルシャ帝国)が、西や、北や、南のほうへ突き進んでいるのを見た。どんな獣もそれに立ち向かうことができず、また、その手から救い出すことのできるものもいなかった。それは思いのままにふるまって、高ぶっていた。
5 私が注意して見ていると、見よ、一頭の雄やぎ(ギリシャ)が、地には触れずに、全土を飛び回って、西からやって来た。その雄やぎには、目と目の間に、著しく目だつ一本の角(アレクサンドロス大王)があった。
6 この雄やぎ(ギリシャ)は、川岸に立っているのを私が見たあの二本の角を持つ雄羊(メディャ・ペルシャ)に向かって来て、勢い激しく、これに走り寄った。7 見ていると、・・雄やぎ(ギリシャ)雄羊(ペルシャ)を地に打ち倒し、踏みにじった。・・8 この雄やぎ(ギリシャ)は、非常に高ぶったが、その強くなったときに、あの大きな角が折れた。そしてその代わりに、天の四方に向かって、著しく目だつ四本の角(ギリシャは四つの国に分割された)が生え出た。9 そのうちの一本の角(シリヤのセレウコス家)から、また一本の小さな角(アンティオコス4世・エピファネス)が芽を出して、南と、東と、麗しい国(イスラエル、ユダヤ)とに向かって、非常に大きくなっていった。10 それは大きくなって、・・11 軍勢の長(神を意味する)にまでのし上がった。それによって、(エルサレム神殿における)常供のささげ物は取り上げられ、その聖所(エルサレム神殿)の基はくつがえされる(祭壇が壊された)。12 軍勢(イスラエルを意味する)は渡され(イスラエルがエピファネスの支配下に置かれたこと)、常供のささげ物に代えてそむきの罪(偶像礼拝)がささげられた。その角(アンティオコス4世・エピファネス)は真理を地に投げ捨て(正しい神への礼拝を禁止すること)、ほしいままにふるまって、それを成し遂げた。

印の「アンティオコス4世・エピファネス」の名前は、旧約聖書の外典「Ⅰマカバイ書」の中に登場しています。

画像の説明
―ギリシャ帝国の四分割(B.C.323~162)のユダヤー

  • 8節の「一本の小さな角」とは、13節では「荒らす者」、23節では「横柄で狡猾なひとりの王」と表現され、「彼は、あきれ果てるような破壊を行ない、事をなして成功し、有力者たちと聖徒の民を滅ぼす」(8:24)とあります。
  • 事実、B.C.175年にエピファネスは裏切りによってシリアの王位を手に入れましたが、その後彼はB.C.168に再度エジプトに侵入した際、ローマの艦隊の介入があり、撤退を余儀なくされました。エピファネスは腹いせにエルサレムに戻り、その城壁をこわして家々に火を放ちました。また8万のユダヤ人を殺し、4万人を捕囚とし、さらに4万人の女・子どもを奴隷として売り払いました。彼は反抗するユダヤ人を徹底的に弾圧し、ユダヤ人の神殿での犠牲の奉献や安息日の遵守、割礼の執行や律法の書の所持などの行為のすべてを禁止しました。そしてこれらの命令に背く者に対しては死罪をもって報いたのです。しかもエピファネスは、エルサレム神殿にギリシャの多神教の主神である「ゼウス神」を祭り、それを聖なる神殿に置いて礼拝するよう強要したのです。こうしたことから、彼は、神聖なユダヤの神殿を無残にも踏みにじった悪名高い人物としてすべてのユダヤ人の間で記憶されています。

2. 暴君エピファネスは、終わりの時に出現する「反キリスト」の型

  • ダニエル書は、ギリシャ帝国から分かれ出た四つの国のひとつから「ひとりの卑劣な者」が起こること、また神殿を汚して偶像を置くことなどを預言していますが、これらはみな、B.C.2世紀のアンティオコス四世・エピファネスの出来事として成就しています。
  • しかし、ダニエルの預言がもし単にこれだけなら、私たちはこれを過去に成就した預言の一例として、心にとどめて終わりになるところです。ところがダニエル書によれば、このエピファネスに関する預言は単にB.C.2世紀の出来事をもってすべてが成就したのではなく、「終わりの定めの時にかかわる」(ダニ8・19)ことだと言われています。エピファネスの出来事は預言成就の第一段階にすぎません。第二段階、あるいは最終段階の成就は世の終わりが間近になった時代に起こります。そのことはキリストの次のことばによっても裏付けられます。
    「それゆえ預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべきもの』が、聖なる所(神殿)に立つのを見たならば・」(マタイ24:15)。
  • ここでの「荒らす憎むべきもの」と、先の「荒らす忌むべきもの」とは、同じく意味です。反キリストはユダヤ人のために神殿(第三神殿)を建てて上げます。しかしその後に、彼は「神の宮の中に座を設け、自分こそ神であると宣言します」(Ⅱテサロニケ2:4)。このように、ダニエルの預言が、なお終末の出来事にかかわっていると言われるように、B.C.2世紀のエピファネスの行為ですべてが成就し尽くしたのではなく、全く同じようなことが終わりの日にも繰り返されるのです。

3. 付記

画像の説明
  • 8章9節にある「麗しい国」とはユダヤの事ですが、名詞の「ツェヴィー」(צְבִי)に冠詞(ה)がついて、ヘブル語では「ハッツェヴィー」(הַצֶּבִי)と言います。「ツェヴィー」は「美しい、誉れ、かもしか」を意味することばです。旧約では3回使われています。ダニエル書では4回(8:9/11:16, 41, 45)です。
イスラエルのかもしか.JPG

雅歌では「かもしか」で使われています(2:9, 17/8:14)。日本のかもしかとは違って、見るからに華奢で、美しいです。


2013.8.21


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