****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

旧約聖書におけるディアコニア <1>

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C-02. 旧約聖書におけるディアコニア <1>

申命記における福祉理念について

はじめに

  • 神の律法の二つの側面―つまり神と人を愛することーは、聖書全体においていつもバランスを保つよう求められている。それは教会の大きな機能として位置づけられる。一つは神に対する礼拝的側面であり、もう一つは人に対する神の愛の証言的側面である。へブル人への手紙13章15節と16節にそのことがまとめられている。
    ①〔礼拝的側面〕・・・・「私たちはキリストを通して、賛美のいけにえ、すなわち御名をたたえるく ちびるの果実を、神に絶えずささげようではありませんか。」
    ②〔証言的側面・・・・「善を行なうことと、持ち物を人に分けることとを怠ってはいけません。
    神はこのようないけにえを喜ばれるからです。」
  • このように、隣人に対する奉仕は実際に神ご自身への奉仕であり、律法を真に完成するその愛の凝結したものにほかならない。神の愛の命令を具体的に表わした他者への心からの犠牲的奉仕と神への礼拝は旧約聖書においても完全に結びづけられている。参照。申命記10章12~19節。イザヤ書1章10~17節。「善をなすことを習い、公正を求め、しいたげる者を正し、みなしごのために正しいさばきをなし、やもめのために弁護せよ。」(17節)という倫理的命令は、礼拝の純粋さと誠実さに対する訓戒と結びつけられている。貧しい者、寄るべのないみなしごとやもめたち、あるいは在留異国人に対して親切に思いやりをもって取り扱うことの命令は、神への礼拝と密接な関係を持っているのである。
  • 以下、旧約聖書の申命記を通して、旧約聖書におけるディアコニアの精神、特に、申命記における福祉理念を取り上げてみよう。

(1) レビ人、および在留異国人、みなしご、やもめに対する福祉規定

①3年毎に収穫の十分の一を与える(12章18、19節、14章27~28節)

  • 「・・あなたの町囲み() のうちにいるレビ人とともに・・食べ、・・あなたの手のわざを喜び楽しみなさい。あなたは一生、あなたの地でレビ人をないがしろにしないように気をつけなさい。(12章18、19節) 
  • 「あなたの町囲みのうちにいるレビ人をないがしろにしてはならない。彼には、あなたのうちにあって相続地の割り当てがないからである。三年の終わりごとに、その年の収穫の十分の一を全部持ち出し、あなたの町囲みのうちに置いておかなければならない。あなたのうちにあって相続地の割り当てのないレビ人や、あなたの町囲みのうちにいる在留異国人や、みなしごや、やもめは来て、食べ、満ち足りるであろう。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。」(14章27~29節)
  • 申命記15章からイスラエルにおける民の社会生活の福祉規定が記されるが、その前に、まずレビ人を大切にすべきことが記されている。イスラエルの生活共同体においてレビ人が軽んじられるような生き方、姿勢、または考え方は問題(危険)であるという思想がこの規定の背後にある。そしてそこから、在留異国人、みなしご、やもめの福祉が真剣に考えられ、取り扱われるような生き方が生み出されるということである。これは神の民としての社会が祝福されるための規定である。 

②落ち穂について(24章19~21節) 

  • 「あなたが畑で穀物の刈り入れをして、束の一つを畑に置き忘れたときは、それを取りに戻ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。あなたの神、主が、あなたのすべての手のわざを祝福してくださるためである。あなたがオリーブの実を打ち落とすときは、後になってまた枝を打ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。ぶどう畑のぶどうを収穫するときは、後になってまたそれを摘み取ってはならない。それは、在留異国人や、みなしご、やもめのものとしなければならない。あなたは、自分がエジプトの地で奴隷であったことを思い出しなさい。だから、私はあなたにこのことをせよと命じる。」

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  • 「町囲み」とは信仰生活共同体を意味する。現代のキリスト教会は、個人主義的な傾向が強くなり、公同礼拝中心となっているため、町囲み(生活共同体)ぐるみで生きる教会形成のために、こうした旧約聖書の契約の教えに大いに注目する必要がある。


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