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瞑想(2)「驚きと渇望」

פ ペー瞑想(2) 「驚きと渇望」

テキスト | 瞑想(1)

  • 119篇129節にある「奇しい」と訳されたことばペラオートは、「驚き」を意味する「ペレ」(פֶּלֶא)の女性形複数です。動詞は「パーラー」(פָּלָא)。「ペレ」(פֶּלֶא)の英語訳はwonders, miracles, wonderful things.「奇しい」「驚嘆すべきもの」「不思議」「すばらしい」という意味です。
  • 「驚き」の経験はとても大切です。学問の世界でも、先ず「驚き」があって、そこに「問い」が生じます。そしてから「探求」がなされて、あることを「発見」するというプロセスを通ります。信仰の世界においても、同様に、神のなさることや、神のことばに対する「驚き」の経験は、真理の探究と発見になくてはならない重要な要素です。学者たちの驚きは「事象」に関するものですが、信仰者の驚きは、神の人に対するかかわりにおける驚きです。詩篇の作者がこの驚きに目覚めて行く姿を見ることができます。
  • 119篇129~136節の段落では、「驚き」・「発見」・「渇望」・「探求」を意味することばがあります。有名な130節「みことばの戸が開くと、光が差し込み、わきまえのない者に悟りを与えます。」は、作者に「驚き」をもたらした正体の「発見」です。つまり、みことばの説き明かしが光をもたらし、その結果として悟りが与えられたという発見です。それゆえ作者は「口を大きく開いて」、つまり、驚きの経験をさらに慕い求め、あえぎ渇望しています。
  • 「驚き」を経験するとは、「心うちに燃える」経験です。イエスが復活された後、ご自分の弟子たちに顕われますが、その顕現の一つは、復活の光(出来事)から聖書を説き明かすという必要がありました。イエスの十字架の死に失望したエマオの村の二人の弟子たちにイエスは現われます。そのとき、イエスは彼らのことを「愚かで、心の鈍い人たち」と言っています。キリストは、必ず、苦しみを受けて、それから栄光に入るはずであったことを、モーセ、および預言者からはじめて。聖書全体の中でご自分について書かれている事柄を彼らに説き明かされとき、彼らの心は燃やされたのです。つまり、驚きの感動です。その驚きの感動は、彼らの聖書の読み方や解釈を完全に翻す出来事であったはずです。
  • 「驚き」・「心うちに燃える」経験は、神の側からの説き明かし、つまり聖霊による照明がなければ、経験することができません。詩篇119篇の作者もそのことをよく知っていました。それが「みことばの戸が開くと、光が差し込み」と言う表現です。自分から戸を無理にこじ開けることではなく、向うの側からうち開かれてくること、啓示の大切に気づきました。それゆえ、作者は、「口を大きく開けて、あえいで」います。そして、「私に御顔を向け」(132)、「御顔をあなたのしもべの上に照り輝かし、教えてください」と嘆願しているのです。
  • 神を慕い求める者には、必ずと言ってよいほど、「内なる驚き」・「心うちに燃える」経験が存在しています。これは神からの賜物なのだと思います。「驚き」がなければ、だれもその「驚き」をもたらすものを探求し、渇望し、その真理を見出すことができないからです。「驚き」・「渇望」・「探求」・「発見」、この連鎖が螺旋状的に高められたいものです。


  • ちなみに、この段落の130節、131節には使用頻度の少ない語彙が多く見られます。たとえば、
  • (1) 130節の「戸を開く」の「ペータハ」(פֵּתַח)は、詩篇119篇130節のみ使われている語彙です。名詞形で「開示」を意味します。NIV訳ではunfoldingと訳されます。普通「開くこと」は「ペタハ」(פֶּתַח)が用いられます。
  • (2) 131節の「(口を)大きくあける」の「パーアル」(פָּעַר)も、旧約で4回の使用頻度ですが、詩篇ではここの119篇131節のみです。
  • (3) 131節の「あえぐ」の「シャーアフ」(שָׁאַף)は旧約で4回の使用頻度。詩篇では4回、119篇ではここ1回。「熱望する、切望する」という意味と「踏みつける、踏みにじる」という意味、また「ため息を吐く」という意味もあります。
  • (4) 131節の「愛した」(新改訳)、「慕い求めます」(新共同訳)のヤーアブיָאַבは、ここ1回限りです。
  • この段落に見られる渇望用語の使用頻度は、いずれも少ないのですが、ここで新しく生まれたことばと考えるならば、意味深いものと言えます。そのことばを生ませた背景は何だったのか、思いは巡ります。


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