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良いとも、悪いとも言えない微妙な人間の判断

民数記の目次

27. 良いとも、悪いとも言えない微妙な人間の判断

【聖書箇所】 32章

はじめに

  • この32章には不思議なことに「主はモーセに告げて言われた」ということばがひとつもないことです。主が沈黙しておられるのです。モーセも主に聞くということもありません。あるひとつの人間的判断に対して「良いとも、悪いとも」言えない判断について記されています。
  • 主はイスラエルの民をエジプトの地から救い出したのは、「その地から、広い良い地、乳の蜜の流れる地、カナン人、ヘテ人、エモリ人、ペリジ人、ヒビ人、エブス人のいる所に、彼らを上らせるためだ」(出3:8)とあります。今回、イスラエルの民のうちの2部族半はヨルダン川東岸のエモリ人が住んでいた地を自分たちの相続地として与えてくださいとモーセに申し出たことが記されています。果たして、この申し出は神のみこころの範疇にあることなのか、そうでないのか、考えさせられる箇所です。

画像の説明

1. 牧畜に適した地(ギルアデ)

  • 民数記21章21節以降にイスラエルがはからずもエモリ人の王シホンと戦います。それは単に領土を通過させて欲しいと願ったにもかかわらず、シホンが民を集めてイスラエルを迎え撃つために出てきたからでした。その戦いでイスラエルは勝利し、アルノンからヤボクまでのすべての町々を取りました。エモリ人は追い出され、そしてそこにイスラエルは住みつきました。その土地はギルアデとも言われます。さらには北のバシャンの王オグとの戦いにおいてもイスラエルは勝利しその地を占領していました。
  • 二度にわたる戦い、そして31章に記されているミデヤン人との戦いにおける勝利も加えるとその戦利品はまことに莫大なものであったろうと推測します。
  • 32章の数節を見ると「家畜」という言葉が目立ちます(32:1, 1,4, 4, 16)。特に、ガド族とルベン族とは他の部族よりも家畜の数が多かったようですが、その理由はわかりません。しかも彼らがすでに戦いで勝利して住み着いていた地は、まことに「家畜に適した地」でした。そこで、彼らはモーセと祭司エルアザルおよび会衆の上に立つ者たちのところに来て、「もし、私たちの願いがかないますならば、どうかこの地をあなたのしもべどもに所有地として与えてください」と申し出ます。これからヨルダンをわたり、約束の地カナンに侵攻しようとするときに、このような申し出が出たことに対して、モーセはすがさず怒りますが、彼らの申し出をよく聞くことで、彼らの申し出を了解したのです。
  • ガド族とルベン族の申し出とは、家畜と子どもたちはこの地に残るが、自分たちは武装してイスラエルの先頭に立って戦い、イスラエルの他の民が約束の地でおのおの相続地を受け継ぐまで、自分たちの家に帰らないという条件付きでした。
  • モーセは彼らの申し出を受諾し、ガド族、ルベン族、そしてマナセの半部族とにヨルダン川の東側の領土を与えたのです。なぜマナセの半部族が加わっているのか聖書は一言もその理由を記していません。しかしこのことはイスラエルの人々の了解事項となりました。果たしてこれが神のみこころの範疇であったかどうかは、人によってその判断はまちまちのようです。

2. 想定外の申し出に対するモーセの対処について

  • ある人は「家畜」(「ミクネー」מִקְנֶה、これは財産を意味します)を優先した人間的判断、あるいは自己中心の肉的な判断だと考えます。あくまでも神のみこころは神の民がひとつとなって、ヨルダンを渡ってカナンの地に入ることだとする考え方です。しかし、ある人は財産である「家畜」も神から与えられたものであり、アブラハムとロトとの間に起こった争いのように、家畜の牧草を巡って争いごとを起こすよりは、すでに神から与えられて今住んでいる土地、しかもそこは家畜に適した場所でもあり、その土地を相続地として与えられるものであれば、それはそれでよいのではないかとする常識的判断です。しかもカナンの地での割り当てがその分だけ多くなるわけで、他の部族にとっても好都合ではないかとする考え方です。いずれも人間的判断によるものです。ところが不思議なことに、この人間的判断について神が沈黙しておられるということです。
  • 神のみこころ、事の善悪を明確にさせることなく、許容範囲のうちとしてモーセは判断して受け止めたようです。もし自分がモーセの立場であったとしたらどのような判断をするだろうかと考えさせられます。神が「良いとも、悪いとも」しないことがあるのだという事実を受け止めておきたいと思います。

2012.3.2


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