詩19篇の修辞
詩19篇の修辞
「密よりも甘い」という暗喩
10節「それらは・・蜜よりも、蜜蜂の巣のしたたりよりも甘い。」(新改訳)
- 詩19篇では、神のみことば(みおしえ、あかし、戒め、仰せ)の効用の素晴らしさを、味覚にたとえて「甘い」と表現しています。つまり、7, 8節で語られているみことばの効用、すなわち、「たましいを生き返らせ」「わきまえのない者を賢くする」「人の心を喜ばせ」「人の目を明るくする」という表現を「甘い」という一言で言い表しています。
- ここで使われている「甘い」は、形容詞で「マートーク」מָתוֹק(matoq))旧約で12回、詩篇ではここ19:10のみです。甘い、美味しい、心地良いという意味です。箴言16:24には「親切なことばは蜂蜜、たましいに甘く、骨を健やかする」とありますが、神のみことばは、神の語りかけはそれ以上のものだというわけです。
- 預言者エゼキエルが神に召されるときに神に次のように言われました。
- 「『人の子よ。わたがあなたに与えるこの巻き物で腹ごしらえし、あなたの腹を満たせ。』そこで私はそれを食べた。すると、それは私の口で蜜のように甘かった。」
- このように、神のみことばを受け入れるなら、みことばはその人を力づけて、生かすのです。サウルの息子ヨナタンは戦場での疲れの中で、蜂蜜を(少しばかりでしたが)食べると「目が輝いた」とあります(サムエル第一、14:27)。「目が輝く」とは力や元気が回復することを意味します。甘いものは、即効的にエネルギーへと換えられるからです。
- 疲れたとき、人恋しくなるとき、お腹が空いたとき、何か心が満たされないようなときに、人によっては、むしょうに甘いものが食べたくなるようです。そのために過剰な糖分を摂り過ぎて太ってしまいます。心身、および魂(霊)と「甘いもの」とは密接な関係があるようです。
- 形容詞の「甘い」מָתוֹק(matoq)の動詞は「マータク」מָתַק(mataq)で、用例としては、出エジプト記で民が苦い水でつぶやいた時、主はモーセに一本の木を示し、それを苦い水に投げ入れると水は甘くなったとあります(15:25)。つまり、水が美味しく飲めるようになったということです。次の用例としては、「私たちは、いっしょに仲良く語り合い」(詩篇55:14)とあるように、楽しい交わりを意味しています。enjoy sweetです。
- 「神の語りかけが甘く、蜜よりも、蜜の滴りよりも甘い」という経験をいつもできるようにしてくださったことは、大きな祝福であり、感謝なことです。
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