****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

2章22節「人から取ったあばら骨を一人の女に造り上げ」


創世記2章22節

【新改訳2017】
神である【主】は、人から取ったあばら骨を一人の女に造り上げ、
人のところに連れて来られた。

【聖書協会共同訳】
神である主は、人から取ったあばら骨で女を造り上げ、
人のところへ連れて来られた

כב וַיִּבֶן יְהוָה אֱלֹהִים ׀ אֶת־הַצֵּלָע אֲשֶׁר־לָקַח
מִן־הָאָדָםלְאִשָּׁה וַיְבִאֶהָ אֶל־הָאָדָם׃

べレーシート

●19節にも、22節にも、同じく「人のところに連れて来られた」とあります。一度目は「あらゆる野の獣とあらゆる空の鳥」でしたが、二度目は「女」です。「あらゆる野の獣とあらゆる空の鳥」の場合は、人と同じ「土」から「形造られ」ましたが、「女」の場合は人から取った「あばら骨」(肋骨)を用いて「造り上げた」のです。これは22節で初めて登場する「バーナー」(בָּנָה)で、この語彙に注目してみたいと思います。

1. 「建築家」としての神である主

●創世記2章7節で、神である主が土の塵で人(「ハーアーダーム」הָאָדָם)を形造ったことから「陶器師」にたとえられますが、22節では、神である主がアダムから取り出されたあばら骨から女を「造り上げた」ことから「建築家」にたとえられます。聖書では、からだを建て上げることも、家を建てることも、同じく「バーナー」(בָּנָה)で表されます。

●創世記1章1節では「天と地」を創造された「創造者」として、6節では「水と水を分けてその間に大空」を造った「制作者(作成者)」にたとえられます。それぞれその働きは異なっていますが、その主体は神(神である主)です。特に、聖書の創造は「無からの創造」というよりは、「混沌荒涼」とした世界を「夕があり、朝があった」にたとえられるように、全く新しくすることを意味しています。この「創造する」の「バーラー」(בָּרָא)は2章では使われることなく、1章にのみあります。これは神にのみ使用されています。それに代わる語彙して、2章では「バーナー」(בָּנָה)が登場するのです。

●「バーナー」(בָּנָה)の意味は「(家、幕屋、神殿、町、国などを)建てる」「(祭壇)を築く」、また、それらを「建て直す、再建する、復興する」という意味でも用いられます。これは「建築用語」なのです。そして、その語彙の初出箇所である創世記2章23節には、神である主が人のために、「ふさわしい助け手」として「女(「イッシャー」אִשָּׁה)を造り上げた」のです。それはどういうことでしょうか。

●この女は建て上げられると同時に、何度も再建され、建て直される必要があるということです。神の歴史において、神によって選ばれたイスラエルの民、および神の都エルサレムが建て直されています。特に、イザヤ諸40章以降にある「バーナー」はすべてこの意味で使われています。

2. 預言者イザヤの語る回復としての「バーナー」

●「バーナー」(בָּנָה)という語彙は旧約では399回使われています。その中からイザヤの語る「バーナー」とそれに関連する語彙のいくつかを見てみたいと思います。

①主によって、ユダの町々を
【新改訳2017】イザ44:26
主のしもべのことばを成就させ、使者たちの計画を成し遂げさせる。エルサレムについては『人が住むようになる』と言い、ユダの町々については『町々は再建され(בָּנָה)、その廃墟はわたしが復興させる(「クーム」(קוּם)』と言う。

②ペルシアの王キュロスによって、エルサレムの神殿を
【新改訳2017】イザヤ書44章28節
キュロスについては『彼はわたしの牧者。わたしの望むことをすべて成し遂げる』と言う。エルサレムについては『再建される(בָּנָה)。神殿はその基が据えられる』と言う。」

③ペルシアの王キュロスによって、エルサレムを、イスラエルの民を
【新改訳2017】イザヤ書45章13節
このわたしが義をもって彼を奮い立たせ、彼の道をことごとく平らにする。彼がわたしの都を建て直し(בָּנָה)、わたしの捕囚の民を解放する。代価を払ってでもなく、賄賂によってでもない。──万軍の【主】は言われる。」

④イスラエルの民のある者たちによって、エルサレムを
【新改訳2017】イザヤ書58章12節
あなたのうちのある者は、昔の廃墟を建て直し(בָּנָה)、あなたは代々にわたる礎を築き直し(「クーム」(קוּם)、『破れを繕う者、通りを住めるように回復する者(「ヤーシャヴ」יָשַׁבの不定詞)』と呼ばれる。

⑤異国の民も加わって、エルサレムの城壁を
【新改訳2017】イザヤ書60章10節
異国の民もあなたの城壁を築き直し(בָּנָה)、その王たちもあなたに仕える。わたしは激しく怒って、あなたを打ったが、恵みをもって、あなたをあわれむからだ。

●「イスラエルの民」も「エルサレムの町」「ユダの町々」「エルサレムの城壁」もすべて女性形です。

●イザヤの「建て直す」という回復の預言(40~66章)の背景に中に、以下の神がおられるのです。

①「創造者」(בָּרָא「バーラー」)・・40:26,28, 41:20, 42:5, 43:1,7,15, 45:7,7,8,12,18, 48:7, 54:16,16, 65:17,18,18
②「制作者」(עָשָׂה「アーサー」)・・40:23, 41:4,23, 42:16, 43:7,19, 44:2,13,13,15,17,19,23,25, 45:7,7,9,12,18, 46:10,10,11, 48:3,5,11,14, 51:13, 53:9, 54:5, 55:11, 56:1,2,2, 57:16, 58:2,1313, 63:12,14, 64:2,3,4, 65:8,12, 66:2,4
③「陶器師」(יָצַר「ヤーツァル」)・・41:25, 43:1, 7, 10,21, 44:2,9,10,12,21,24, 45:7,9,18,18, 46:11, 49:5, 54:17


3. 新約聖書における「建て上げる」

●「バーナー」(בָּנָה)の対応するギリシア語の訳語は「オイコドメオー」(οἰκοδομέω)です。これは名詞の「オイコドメー」(οἰκοδομή)と共に「教会建設」の重要な語彙となっています。

【新改訳2017】 Ⅰペテロの手紙 2章5節
あなたがた自身も生ける石として霊の家に築き上げられ、神に喜ばれる霊のいけにえをイエス・キリストを通して献げる、聖なる祭司となります。
※「建て上げる」の「オイコドメオー」(οἰκοδομέω)が、ここでは「築き上げられ・・なさい」と現在命令受動態で使われています。

●イェシュアは山上の説教の中で、「岩の上に建てられた家」のたとえ話をされました(マタイ7:24)が、その岩とはペテロが告白した「あなたは神の子キリストです」という信仰です(マタイ16:16)。イェシュアは「わたしはこの岩の上にわたしの教会を建てます(οἰκοδομέω)」(マタイ16:18)と言われました。パウロはこの建物について、次のように述べています。

【新改訳2017】エペソ人への手紙 2章21節
このキリストにあって、建物の全体が組み合わされて成長し、主にある聖なる宮となります。
※この「建物」は「キリストのからだ」です。ここに創世記2章22節の「女」を「建て上げる」と結びつきます。

【新改訳2017】エペソ人への手紙 4章16節
キリストによって、からだ全体は、あらゆる節々を支えとして組み合わされ、つなぎ合わされ、それぞれの部分がその分に応じて働くことにより成長して、愛のうちに建てられること(οἰκοδομή)になります。

【新改訳2017】エペソ人への手紙 4章29節
悪いことばを、いっさい口から出してはいけません。むしろ、必要なときに、人の成長に役立つことば(οἰκοδομή)を語り、聞く人に恵みを与えなさい。

※「成長に役立つことば」を新改訳改訂第三版までは「徳を養うことば」と訳されていました。教会を建て上げるためには、必要なときに、人々に対して恵みを与えるようなことばを発することが重要なのです。つまり、キリストのからだとしての「兄弟愛の建設」です。


4. からだと花嫁との関係

●「神である【主】は、人から取ったあばら骨を一人の女に造り上げ、人のところに連れて来られた」というフレーズには、「女」によって予表される「教会」の二つの面、つまり「キリストのからだ」と「キリストの花嫁」が言い表されています。

●第一の面は、神である【主】が「人から取ったあばら骨を一人の女に造り上げ」ました。したがって、女はアダムのからだであり、それは「キリストのからだ」を予表しています。しかし第二の面は、その彼女を神はアダムのところに「連れて来た」ということで、女はアダムの花嫁となることができるのです。それは「キリストの花嫁」を予表しています。

●教会がなぜ「キリストのからだ」、「キリストの花嫁」という言い方がなされるのかといえば、創世記2章22節にある神の行為と深く関係しているのです。アダムから出てきたものだけが彼のからだとなり、彼の助け手になることができます。そしてまたアダムのところに連れ戻されるものが花嫁となる資格があるのです。

2020.5.12
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