「哀歌」について
0. 「哀歌」について
1. タイトルについて
- 日本語聖書では「哀歌」となっていますが、ヘブル語の原題は最初に登場する語彙「ああ、なにゆえ」と訳される「エーハー」אֵיכָהです。「エーカー」と表記されている場合もありますが、「エーカー」だとאֵיכָּהというように、「カフ」の文字の真ん中にダゲシュ(・)が入らなければなりません。ダゲシュが入っても入らなくても、どうでも「エーカー」とはしないように、区別しなければなりません。
- LXX訳(七十人訳)には、タイトルが「エレミヤ哀歌」となっており、「まえがき」として次のような説明が記されています。
「イスラエルが捕囚に導かれ、エルサレムが荒廃した後、エレミヤは座して泣き、この哀歌をもってエルサレムのために哀悼した。」と。「哀歌」は文字通り「悲しみの書」です。なにゆえにこの悲惨な出来事が起こったのかが「哀歌」の内容です。エレミヤが書いたものかどうかは明確ではありませんが、はっきりとしていることは、この悲惨な出来事をもたらした要因が預言者エレミヤの語ることばに、指導者や民たちが耳を傾けなかったことです。
2. 「哀歌」の特徴
- 「哀歌」は5章からなる詩文です。1章から4章まで、それぞの節の頭がヘブル語のアルファベット順になっています(日本語の訳ではわかりませんが・・)。
1章1節・・・「アーレフ」א
1章2節・・・「ぺイト」ב
1章3節・・・「ギメル」ג (以下続く)
3. 「哀歌」の背景
- 時代背景としては、南ユダ王国がバヒロンによって包囲され、エルサレムの神殿は崩壊し、民たちはバビロンへ捕囚として連れて行かれるという歴史を背景としています。その様子は列王記第二24~25章、歴代誌第二36章、エレミヤ記39章に記されています、「哀歌」が書かれた時期は、捕囚されたBC.586年から間もない頃と推定されます。
2012.12.14
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