****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

ナホム書の瞑想を始めるに当たって

文字サイズ:

0. ナホム書の瞑想を始めるに当たって

ベレーシート

  • ナホム書からのメッセージをしたという人、あるいはナホム書からのメッセージを聞いたという人がどれほどいるでしょうか。そんな質問をするほどに、顧みられていない預言書なのです。私を含めて。しかしこのナホム書を「御国の福音」の視点から見るなら、この書ほどに大きな「慰め」を与えてくれる書はありません。神のご計画における神のヴィジョンに寄り添ってこのナホム書を読むならば、文字どおり、「ナホム」(原文は「ナフーム」נַחוּם)が意味する主の慰めに満たされるはずです。

1. ナホムが預言した時代的背景について

  • ナホム書における預言は「ニネベ」に対する神のさばきです。「ニネベ」はアッシリアの首都であり、かつて最初の権力者であったニムロデが建てた町のひとつです。ですから、その町は神に逆らう勢力の中心であったということです。ヨナ書においては、そうした勢力の中にある者たちであっても、神に立ち返るならば、神のあわれみを受けるということが記されていました。しかし、ナホム書においては、ニネベに対する神の顧みは一切なく、完全な滅びが語られています。いかにもヨナが喜びそうなメッセージですが、聖書の神はヨナ書とナホム書を合わせての神であることを念頭に置かなくてはなりません。
  • ナホム書が書かれた時期を二つの出来事から推測できます。一つはニネベが陥落したB.C.612年です。もう一つは、ナホム書3章8~10節にあるエジプトの「ノ・アモン」(新改訳)という首都です。口語訳、新共同訳では「テーベ」と訳されています。水に囲まれたエジプトの首都テーベがアッリシアのアッュール・バニパルによって陥落されたのはB.C.663年です。しかもこの頃が、アッシリヤの領土が最も拡大した時代です。

画像の説明

画像の説明

  • したがってナホム書が書かれたのは、B.C.663~612年の間という事になります。B.C.650年という説もありますが、この説が妥当だとすれば、マナセの治世の後半ということになります。Ⅱ歴代誌33章11~16節によれば、B.C.648年にアッシリアの王アッシュール・バニパルが自分の部下でバビロンを支配していた兄弟たちを殺し、彼らと同盟を結んでいた者たちに報復を加えました。その仲間の一人にユダの王マナセもいたようです。マナセは一時期バビロンに捕囚として置かまれますが、そこで悔い改め、ユダに帰国して改革を起こそうと努めたようです。ナホム書1章15節はそのことを指しているという推論も成り立ちますが、マナセの監禁の長短が確定できないために断言することはできません。
  • いずれにしても、最大の領土を占領した時(B.C.663年)からわずか50年たらずの間に、アッシリアの首都ニネベが陥落したことになります。首都が陥落するということは、アッシリヤの長い歴史(1500年間)を誇った一国が没落したことを意味します。しかしそこには神の隠されたご支配があることは言うまでもありません。アッシリアの支配から一時、ユダが解放されるのも束の間、ユダに対する脅威はアッシリヤからバビロンへと移行したに過ぎませんでした。
  • B.C.722年には、北イスラエルの首都サマリヤがアッシリアによってすでに陥落しています。B.C.663~612年の間の南ユダ王国においてどんな事が起こっていたのか、そこに目を向けてみると以下のようになります。⇒南ユダ王国の歴史を参照。


画像の説明

  • B.C.663~612年の間の南ユダ王国においては、最悪の王マナセと最善の王ヨシヤがいます。マナセは親アッシリア政策を取り、ヨシヤは反アッシリア政策を取りました。といっても、ヨシヤの場合、そのようにできるアッシリアの弱体化が背景にあったからでした。おそらく、ナホム書1章15節の「ユダよ。あなたの祭りを祝い、あなたの誓願を果たせ」と言われている「あなた」とはヨシヤ王のことだと考えられます。なぜなら、Ⅱ列王記23章にあるように、ヨシヤ王がユダのすべての人々を集めて、律法の書のことば(=申命記)を読み聞かせ、再度、この書物に記されている契約のことばを実行することを誓ったからです。


2. ヨナ書とナホム書とは相補関係にある

  • ヨナ書もナホム書も、いずれもニネベに対して預言しています。ヨナがニネベに対して「もう四十日すると、ニネベは滅ぼされる」というメッセージを伝えると、ニネベの人々(王も含めて)はおのおの悪の道と、暴虐な行いから悔い改めて神に立ち返りました。それを見た神は彼らへのわざわいを思い直されたのです。イスラエルの神は異邦人の神としてそのあわれみを示す方であることを主張しています。一方のナホム書では二ネベの悔い改めはなく、神のさばきも思い直されることがないことを主張しています。事実、B.C.612年、ニネベはナホムが預言した通り、滅ぼされ、二度とかつての繁栄と栄光は戻りませんでした。忽然と姿を消してしまったのです。
  • ナホム書は、神のご計画に逆らう勢力は必ず神がさばかれるという真理を啓示しています。そしてヨナ書はそのような中にあっても、たとえどんな暴虐な異邦人であったとしても、神に立ち返る者はそのさばきから免れるという真理を啓示しています。御国の福音の視点から見るならば、ヨナ書とナホム書は相補的関係にあると言えます。

2015.6.2


a:8721 t:5 y:7

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional