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主はこう仰せられる。悔い改めよ。

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14. 主はこう仰せられる。悔い改めよ。

【聖書箇所】 14章1節~23節

ベレーシート 

  • 14章には二つの事柄が記されています。
    一つは、1~11節の「悔い改めよ」という命令であり、もう一つは、12~23節の「免れらないさばき」についてであり、たとえ「ノア、ダニエル、ヨブ」という義人によっても免除されることはあり得ないという原則が明確に示されていることです。いずれにしても、両者が目指していることは、イスラエルの民が再び主の民となり、主もイスラエルの神になるためです。神と人とのかかわりを回復させるために、神はイスラエルを一度滅ぼして、再び、建て上げようとしておられるのです。
  • ここでは、特に、再建のためのキーワードとなる「悔い改めよ」(14:6)と訳されている動詞に注目してみたいと思います。

「向き直り、向き直れ」というフレーズ

14章6節の翻訳をいろいろな聖書で見てみましょう。

【新改訳改訂3】
それゆえ、イスラエルの家に言え。神である主はこう仰せられる。悔い改めよ。偶像を捨て去り、すべての忌みきらうべきものをあなたがたの前から遠ざけよ。
【口語訳】
それゆえイスラエルの家に言え、主なる神はこう言われる、あなたがたは悔いて、あなたがたの偶像を捨てよ。あなたがたの顔を、そのすべての憎むべきものからそむけよ。
【新共同訳】
それゆえ、あなたはイスラエルの家に言いなさい。主なる神はこう言われる。悔い改めて、お前たちの偶像から離れ、すべての忌まわしいものから顔を背けよ。
【岩波訳】
立ち返れ。お前たちの偶像から身を翻せ。お前たちの忌まわしいものすべてから顔を翻せ。
【NKJV】
"Therefore say to the house of Israel, 'Thus says the Lord God: "Repent, turn away from your idols, and turn your faces away from all your abominations.
【NIV】
"Therefore say to the house of Israel, `This is what the Sovereign LORD says: Repent! Turn from your idols and renounce all your detestable practices!

  • 上記の節をの原文を直訳すると次のようになります。

    画像の説明

  • 原文には「帰る、向きを変える、立ち帰る」を意味する「シューヴ」という動詞の命令形が3回使われています(原文の赤茶色でしめした箇所)。最初の二つ「シューヴ― ヴェ・ハーシーヴー」と繰り返すことで、「立ち帰る」ことが強調されています。そして最後には、顔を主に向けるように命じています。新改訳のように「(偶像を)捨て去る」「遠ざける」という意味の原語はありません。ただ、主に顔を向けること、方向を転換することが求められています。「捨て去る」こと、「遠ざける」という行為が強調されているのではなく、向きを変えて、主に顔を向き直すことが強調されているのです。
  • イエスが公生涯に入られて宣教を始められた時、「悔い改めなさい。天の御国が近づいたから」(マタイ4:17)と言われました。「悔い改めよ」という命令とその理由からなっているフレーズです。ここでの「悔い改めよ」と訳されたギリシャ語は「メタノエオー」という動詞の命令形です。ギリシャ語の「メタノエオー」が本来意味するのは「心を変える、考え方を根本から変える」という意味ですが、イエスの言う「メタノエオー」は「立ち返る、向きを変える」という意味の「シューヴ」で語っていることは至極当然のことと言えます。
  • 「神に立ち返る(向き直る)」というメッセージは、イエスの語った「放蕩息子」のたとえ話(ルカ15章)にその最良の注解があり、その意味するところを理解することができます。放蕩息子は、自分はもう息子と呼ばれる資格がないことを知って、ただ父の家に帰って来ただけでした。ところが父は、帰って来た彼を「見つけ」「かわいそうに思い」「走り寄り」「抱き」「口づけ」します。一切責めることなく、父は彼を自分の息子として受け入れたのでした。そして息子としてのふさわしい最上の着物を着せ、手に指輪をはめさせ、足にくつをはかせ、祝宴を催したのです。
  • 「神に向き直る」ということが何をもたらすのか、よく理解させられる話です。しかも、かつての父と子のかかわり以上のものが生まれたのです。これがイエスの福音であり、神の国における新しいかかわりなのです。エゼキエル書14章の「シューヴー ヴェハーシーヴー」(「向き直り、向き直れ」)というフレーズは、やがて神の国(天の御国)の王であるイエスにひとりひとりの顔が向けられることを示唆しているのです。「悔い改めなさい」とは、イエスご自身に「向き直る」ことを命じたことばなのです。なぜなら、良きおとずれはそこにあるからです。

2013.5.22


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