****** 詩篇は、神と私たちの生きた関係を築く上での最高のテキストです。******

昔の日のように

文字サイズ:

7. 昔の日のように

【聖書箇所】 5章1節~22節

ベレーシート

  • 5章を味わうべきキーワードを21節の中にある「昔の日のように」としました。

画像の説明

  • 「哀歌」は悲哀の歌ですが、決して絶望で終わっていません。その深いところに復帰への渇望があります。それは帰るべきところ、本来の自分たちのいるべきところがあるからです。それは一縷の望みでした。

1. 認罪(罪への自覚)

  • 1節の「私たちに起こったこと」(新改訳)「私たちにふりかかったこと」(新共同訳)の原因が、自分たちが「罪を犯したから」と認めています(16節)。この認罪こそ希望への原点です。悔い改めもこの認罪なしには始まりません。自分たちに起こったこと、それがいかなるものであったかをいろいろな表現で語った後に、「ああ、私たちにわざわいあれ。私たちが罪を犯したからです。」とあります。
  • 「ああ、私たちにわざわいあれ」(原意は「ああ、哀れだ」「ああ、悲しい」オーイ・ナーאוֹי־נָא)とは、自分たちに起こったわざわいは、自分たちが神に罪を犯したことの当然の報いであったことを認めたことを意味します。1章1節、2章1節の冒頭にある「ああ」とは同じことばで訳されていても、「なにゆえにこんなことが起こったのか」という意味の「エーハー」אֵיכָהとはニュアンスが異なります。

2. 復帰への渇望(「昔の日のように」)

  • 罪を認めたとしても神の不在を経験します。「なぜ」「いつまで」は、詩篇に見られる嘆きの詩篇の特徴ですが、この哀歌にも見られます(5:20)。神の沈黙には深い意味があります。神の不在経験は神に対する信頼を薄めるものではなく、むしろ神への渇望の質が問われれているのです。
  • 21節のみことばを注目してみます。

【新改訳改訂第3版】哀歌 5章21節
【主】よ。あなたのみもとに帰らせてください。私たちは帰りたいのです。
私たちの日を昔のように新しくしてください。

  • 5章は1~4章までのように各節がアルファベットにはなっていませんが、美しいパラレリズム(同義的並行法)になっています。とすれば、21節の前半「【主】よ。あなたのみもとに帰らせてください。私たちは帰りたいのです。」という願いと、後半の「私たちの日を昔のように新しくしてください。」は同義ということになります。
    ただし、前半部分の直訳は次のようになっています。
    「私たちを帰してください。主よ。あなたのもとに、そうすれば、私たちは帰ることができます」
  • 新改訳の訳は、一方的に「帰らせてください、帰りたい」となっていますが、神の恩寵なしには帰ることがことができないのです。これが実は後半の「昔のように」ということばと大いに関連しているのです。
  • 「昔」と訳されたヘブル語は「ケデム」(קֶדֶם)ですが、この「ケデム」は「東」という意味もあります。「東の方、東側」は「ケーデム」(קֵדֶם)です。いずれも名詞ですが、この言葉の元になっている動詞の「カーダム」(קָדַם)は次のような意味を持っています。東は太陽が上って来る方角ですが、そこから「会う」「迎える」「出迎える」という意味を持っています(しかも、動詞の場合には強意形ピエル態で使われます)。
  • たとえば、詩篇21:3では「あなたは彼(王)を迎えて(קָדַם)、すばらしい祝福を与え、彼のかしらに純金の冠を置かれます」とあります。同じく詩篇59篇10節では「私の神は、私を迎えに(קָדַם)来てくださる。」(新共同訳では「神は私に慈しみ深く、先立って(קָדַם)進まれます。」)。つまり、動詞の「カーダム」は「先立って、出迎える」という神の先取的な恩寵的行為を表わす意味を持っています。「昔の日のように」とは、この神の先取的恩寵を意味しているのです。
  • ですから、「昔のように」、本来自分たちのいるべきところに帰して、神とのかかわりを「新しく」してくださいという願いは、神の一方的な恩寵にかかっているのです。主が自分たちの罪を赦して出迎えてくださることなくして、決して帰ることはできないのです。
  • 「昔のように」という祈りは、人間が本来置かれた「エデンの園」への復帰への希求を示唆しています。それは神のご計画の最終ステージである「新しい天と新しい地」において、神と人とが共に住む永遠の幕屋である「新しいエルサレム」(=「エデンの園」)において完成します。「哀歌」の啓示は、まさにその希求を生み出すところにあると言えるのではないでしょうか。

2012.12.26


a:1814 t:1 y:0

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional