雨降って地固まる
サムエル記の目次
36. 雨降って地固まる
【聖書箇所】 10章1節~19節
はじめに
- この10章はダビデ王国の地盤がいかにしてしっかりと固まったかというプロセスが記されています。
1. 戦いにおける大義名分
- アモン人もアラム人もすでにダビデによって制圧されていました(8章)が、ダビデの支配に不満を抱く不穏分子たちがいることが明らかになる事件が起こりました。
- アモン人の王が死に、その息子が代わって王となったとき、ダビデはお悔やみを伝えるために使者を遣わしました。ところがダビデの使者が新しいアモン人の王に辱められました。そのことが契機となって戦いが起こります。アモン人側はこの戦いのために北方の国々から兵士を雇い入れました。
- この戦いは結局のところ、ダビデ側の勝利に終わりますが、この戦いにおいて、イスラエルの将軍ヨアブが語ったことばは注目に値します。
【新改訳改訂第3版】Ⅱサム 10:11~12
ヨアブは言った。「もし、アラムが私より強ければ、おまえが私を救ってくれ。もし、アモン人がおまえより強かったら、私がおまえを救いに行こう。強くあれ。われわれの民のため、われわれの神の町々のために全力を尽くそう。【主】はみこころにかなうことをされる。」
- このヨアブの言葉には結束力の強さと戦いの大義名分があります。このことはお金で雇った傭兵とは比べられないほどの力の差を感じます。
- ここでの大義名分は「われわれの民のため、われわれの神の町々のために」ということであり、そのことのために、主が「みこころにかなうことをされる。」という信仰をもって励ましあっています。「みこころにかなう」とは「良いこと」(「ハットーヴ」)をされるという意味です。
- 何のために戦うのか、だれのために戦うのかといった「大義名分」をしっかりと示せるリーダーシップが求められます。
2. ダビデのリーダーシップ
- 一旦は戦いに勝利しましたが、アラム側は自分たちがイスラエルに負かされたのを知って、北方のツォバの王ハダデエゼルを中心に周辺諸国が連合してイスラエルに立ち向かいます。このとき、ダビデは戦列の先頭に立って陣頭指揮をとっています。敵軍を率いたのはハダデエゼルの将軍でしたが、イスラエル軍を率いたのはダビデ王自身でした。この戦いがいかに重要であったかがわかります。この戦いによって、北方の勢力は完全にダビデの支配下に置かれ、イスラエルは大きくその地盤を固めることとなったのです。「雨降って、地固まる」とはまさにこのことです。
2012.7.28
a:6546 t:2 y:2