****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

ゴルゴタの十字架

72. ゴルゴタの十字架

【聖書箇所】 23章32節~43節

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オリーブ山から見たエルサレム

はじめに

  • イエスは「どくろ」と呼ばれる所(ゴルゴタ)で、二人の犯罪人と共に処刑されるために十字架につけられました。ルカの福音書の独自性は、十字架の上で語られたとても重要なイエスの二つのことばを記録していることです。

(1)34節
「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのが自分でわからないのです。」

(2)43節
「まことに、あなたに告げます。あなたはきょう、わたしとともにバラダイスにいます。」


1. 「ゴルゴタ」という場所について

  • 「どくろ」と呼ばれている所は、「ゴルゴタ」とも言われます。
    「どくろ」(髑髏)とは、白骨化した頭蓋骨のことで、されこうべとも言います。「頭蓋骨」のことをヘブル語では「グルゴレト」גֻּלְגֹּלֶתと言いますが、それがアラム語に音訳されたのが「ゴルゴタ」です。ギリシャ語では「クラニオン」Κρανίονですが、ラテン語ウルガタ訳がこれを「カルバリア」と翻訳したことから、「カルバリ」という異称となり、広く用いられるようになったようです。
  • 今日、「ゴルゴタ」と考えられるところに「聖墳墓教会」があり、そこに至るまでを「ヴィア・ドロローサ」(悲しみの道)と呼んでいます。その「聖墳墓教会」は神殿の西側にあります。この場所をゴルゴタの丘と特定したのは、ローマ皇帝コンスタンティヌス帝(AD306~337)の母后ヘレナによってでした。コンスタンティヌス帝は、ローマ帝国で初めてキリスト教を公認した皇帝です。その母ヘレンは熱心なキリスト教徒であり、イエスが十字架で処刑されたゴルゴタの丘を特定する目的で聖地エルサレムへ巡礼し、326年にゴルゴタと思われる場所に聖堂を建立したようです。それ以来、多くのクリスチャンがこの場所を「ゴルゴタ」と思ってきました。
  • ところが、その場所はイエスが十字架につけられた場所ではないことが分かってきたのです。本当のゴルゴタの場所は神殿の東側にあるオリーブ山附近だとする見方があります。そもそも「ゴルゴタ」の元になったヘブル語の「グルゴレト」は「頭蓋骨」という意味で、多くの墓があるギドロンの谷の方向です。しかも、エルサレムにはイエスの当時では神殿の東側(糞門)の外側に罪のためのいけにえが焼かれる場所がありました。
  • イエスが十字架にかけられたことは事実なのだから、神殿の西側でも東側でもどちらでも良いではないかという意見がありますが、イエスの地上でのすべての行動には、神の秘密が隠されているのです。聖書においてすべてがつながっているのです。そのような理由から、ゴルゴタは神殿の東側でなければならず、その必然性を聖書的に立証することができるのです。詳しくは、キム・ウヒョン著「主の道を辿って」の『エルレム篇』を参照のこと(近日発行)。
  • コンスタンティヌス帝の時代にニカイヤ会議が開かれ、三位一体の教義などが決議されたのですが、このとき、ユダヤ教からキリスト教を完全に分離する決議もなされたのです。この置換神学によって、ユダヤ的・ヘブル的ルーツを完全にそいでしまったのです。こうしたことも、ゴルゴタが神殿の西側になったことと無関係ではないかも知れません。

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西側から見たエルサレム

2. イエスがひとりの犯罪人に約束した「バラダイス」について

  • イエスが語られたとする「パラダイス」について、今のところ、ここには神の深い秘密が隠されているように思えるだけで、これをへブル的視点からなにが見えてくるのか、理解しがたいことばです。
  • 新約で「パラダイス」ということばが使われている箇所は以下の3箇所です。

    (1) ルカ23章43節
    「・・あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。」
    (2) 第二コリント12章4節
    「(私は)パラダイス(第三の天)に引き上げられて、人間には語ることが許されていない、口に出すことのできないことばを聞いたことを知っています。」
    (3) ヨハネの黙示録2章7節
    「耳のある者はみた聞きなさい。御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。『勝利を得る者に、わたしは神のパラダイスにあるいのちの木の実を食べさせよう。』」


    ちなみに、ヘブル語聖書はこの「パラダイスに」を「べガン(בְּגַן)・エデン(עֵדֶן)」、つまり「エデンの園に」と訳しています。「パラダイス」はイエスの復活前には「アブラハムのふところ」と同義でしたが、復活と昇天後には「パラダイス」が第三の天(神の臨在の場所)に移動しています(エペソ4:8参照)。それゆえキリストを信じる者は、死後すぐに天にあげられるようになっています(Ⅱコリント12:4)。また将来的には、パラダイスは「新しいエルサレム」の中に存在することになります(黙示録2:7)。


2012.11.1


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