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3章1節(1)


創世記 3章1節(1)

【新改訳2017】創世記3章1節前半
さて蛇は、神である【主】が造られた野の生き物のうちで、
ほかのどれよりも賢かった。

【聖書協会共同訳】創世記3章1節前半
神である主が造られたあらゆる野の獣の中で、
最も賢いのは蛇であった。

א וְהַנָּחָשׁ הָיָה עָרוּם מִכֹּל חַיַּת הַשָּׂדֶה אֲשֶׁר עָשָׂה יְהוָה אֱלֹהִים

ベレーシート

●3章1節は「ヴェハンナーハーシュ」(וְהַנָּחָשׁ)で始まります。接続詞の「ヴェ」(וְ)は話題の転換を示します。ここで初めて冠詞付きの「蛇」(「ナーハーシュ」נָחָשׁ)が登場します。この「蛇」がいかなる存在なのかを考えます。創世記3章は「食べる」ことを巡って展開しています。3章の中に「食べる」(「アーハル」אָכַל)という語彙が全24節中に17回も使われていることから、その重要性が分かります。「食べる」ことは「一体となる」ことを意味します。その「食べる」ことを巡って、「蛇」(「ナーハーシュ」נָחָשׁ)が登場してくるのです。ところで、この「蛇」の正体とは何なのでしょうか。

1. 「最も賢い生き物」

●「野の生き物のうちで最も賢いもの」、それが「蛇」です。原文には冠詞が付いています。つまり「その蛇」です。その蛇が「最も賢い」存在なのです。「賢い」と訳された形容詞の「アールーム」(עָרוּם)の語源となる動詞「アーラム」(עָרַם)は、「利口である、悪賢い」という意味で使われています。新改訳2017、新共同訳、岩波訳、七十人訳が「賢い」と訳していますが、口語訳と新改訳改定第三版は「狡猾で」、中沢訳は「悪賢い」と訳しています。それにしても「賢い」と「狡猾」さはどのようにして結びつくのでしょうか。「蛇」は神が造られた被造物であり、創世記1章によれば、神はご自分が造ったものを見られたとき、それは「非常に良かった」とあります(1:31)。イェシュアが弟子たちを宣教に送り出すときにこう言われました。

【新改訳2017】マタイの福音書 10章16節
いいですか。わたしは狼の中に羊を送り出すようにして、あなたがたを遣わします。ですから、蛇のように賢く、鳩のように素直でありなさい。

●イェシュアは「蛇のように賢く、鳩のように素直でありなさい」と使徒(弟子)(たちに命じています。ここには「蛇」の持つ性格が語られていますが、蛇が「狡猾」だという意味で使ってはいません。「女」は「蛇」をどのように見ていたのでしょうか。決して狡猾な生き物だとは見なしていなかったのではないかと思われます。むしろ。利口で、神のような賢さを持った、一見優しい、親切な存在として見ていた感があります。鍋谷尭爾氏は「女の前に現れた時の蛇は、かわいいリスやウサギのような形であったと思われます」と記しています。もし蛇が狡猾だと知っていたなら、女も用心したに違いありません。そのような「蛇」が女に近づいてきたのです。

2. 「あの古い蛇」

●創世記3章1節で登場する「蛇」について、ヨハネの黙示録では次のように記されています。

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章9節
こうして、その大きな竜、すなわち、古い蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれる者、全世界を惑わす者が地に投げ落とされた。また、彼の使いたちも彼とともに投げ落とされた。

【新改訳2017】ヨハネの黙示録20章2~3節
2 彼は、竜、すなわち、悪魔でありサタンである古い蛇を捕らえて、これを千年の間縛り、
3 千年が終わるまで、これ以上諸国の民を惑わすことのないように、底知れぬ所に投げ込んで鍵をかけ、その上に封印をした。その後、竜はしばらくの間、解き放たれることになる。

大きな竜ホ・ドラコーン ホ・メガス(ὁ δράκων ὁ μέγας)
悪魔ホ・ディアボロス(ὁ Διάβολος)
サタンホ・サタナス(ὁ Σατανᾶς)、ハッサーターン(הַשָּׂטָן)
古い蛇ホ・オフィス ホ・アルカイス(ὁ ὄφις ὁ ἀρχαῖος)
直訳「初めの蛇」ハッナーハーシュ ハッケドゥモーニー(הַנָּחָשׁ הַקַּדְמוֹנִי)

●「悪魔」という言葉は旧約にはありません。蛇とサタンだけです。上記の「大きな竜」「悪魔」「サタン」「古い蛇」はみな同格、かつ、同義であり、すべて「惑わす者」です。「惑わす者」は「プラナオー」(πλανάω)の分詞で、新約での初出箇所はマタイ18章12, 13節「迷い出る」(受動態)の意味で使われています。蛇は「惑わす者」であり、人々を神の道から「迷い出させる」のです。

●「プラナオー」(πλανάω)は、他にマタイ24章4, 5, 11, 24節で使われています。

【新改訳2017】マタイの福音書24章4~5節、11, 24節
4 そこでイエスは彼らに答えられた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
5 わたしの名を名乗る者が大勢現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わします。
11 また、偽預言者が大勢現れて、多くの人を惑わします。
24 偽キリストたち、偽預言者たちが現れて、できれば選ばれた者たち(イスラエルの民たち)をさえ惑わそうと、大きなしるしや不思議を行います。

●「終わりの時代」になると、多くの惑わす者たちが現れるようになることをイェシュアは告げています。ですから、私たちはそれらに惑わされないようにしなければなりません。マタイの福音書23章では、律法学者たち、パリサイ人たちを「忌まわしい者、わざわいだ」と称しています。そしてその彼らを「蛇たち」と呼んでいるのです。

【新改訳2017】マタイの福音書 23章33節
蛇よ、まむしの子孫よ。おまえたちは、ゲヘナの刑罰をどうして逃れることができるだろうか。

●彼らを「ニハーシーム」(נְחָשִׁים)、すなわち「蛇たち」と呼んでいます。


ベアハリート

ツタンカーメン.PNG

●創世記3章1節の蛇を意味する「ナーハーシュ」(נָחָשׁ)は41回(創世記3章では5回)使われています。「ナーハーシュ」(נָחָשׁ)の語源(動詞)は「ナーハシュ」(נָחַשׁ)で、「占いをする、卜占(ぼくせん)をする」という意味を持っています(レビ19:26)。その名詞である「ナハシュ」(נַחַשׁ)は「まじない、まじない師」を意味します。カナン人たちはみなそのような者たちに頼って生きていたのです。それゆえ神は彼らを追い払われ、滅ぼされたのです。右図のように、エジプトの王ファラオ(ツタンカーメン)の頭上には蛇(コブラ)がいます。

●「ナーハーシュ」にまつわる話として、民数記21章における「青銅の蛇」があります。

2020.6.10
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