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瞑想Ps89/A

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瞑想Ps89/A

  • この詩篇は契約というものが何であるかということを深く考えさせられる詩篇です。特に、神との契約を破棄した者が神によりすがることができるのも、実は契約を土台とするときです。
  • 神の契約には「わざの契約」と「恵みの契約」とがあります。双方とも神の恵みのわざが契約の前提となっていますが、前者の「わざの契約」の特徴は、神の恵みに対する人間の責任の厳しさが問われているところにあります。後者の「恵みの契約」の特徴は、人間の責任に見切りをつけた神がやがて自ら立て直して結ぶ契約であるという点に特徴があります。「わざの契約」と言われるものには「アダム契約」「シナイ契約」「モアブ契約」などがあります。「恵みの契約」と言われるものには創世記3章15節の「原福音」「ノア契約」「アブラハム契約」「ダビデ契約」、そしてエレミヤが預言した「新しい契約」があります。神の契約を破戒した神の民にとって、再起への希望を抱くことができたのは、まさに「恵みの契約」のサイトがあったからでした。
  • 詩89篇の作者は、神の懲らしめとしての捕囚の嘆きの中で、ダビデ契約に基づいて、神に再起を願っているのです。特に、「恵みの契約」の中に「永遠の」ということばがしばしばあるのは注目すべき点です。人の責任が問われる契約において「永遠」というのはあり得ません。そのことを何よりも私たちに示してくれているのがイスラエルの民の姿です。それは私たちの姿でもあるのです。
  • この詩篇の作者が置かれている現実は、38節以降にあります。「しかし、あなたは拒んでお捨てになりました。・・あなたは激しく怒っておられます。あなたは、あなたのしもべの契約を破棄し、彼の冠を地に捨てて汚しておられます。・・」とあるように、この現実は神の民の落ち度によってもたらされたことは言うまでもありません。神の怒りに触れ、名誉を汚され、恥辱を味わわされ、社会的な保護を失い、人々からのそしりに身をさらされている。しかし彼らが「いつまででしょうか。いつまで、いつまで・・」と神に食い下がっています。神から見捨てられたと思えるような現実の中で、なおかつ彼らの「回復の希望の支え」となったものはなんだったのでしょうか。もう回復の見込みはないのでしょうか。それは49節です。「主よ。あなたのさきの恵みはどこにあるのでしょう。それはあなたが真実をもってダビデに誓われたものです。」しかし、作者にはそれさえも破棄されたように感じています(39節)。
  • ここで「さきの恵み」、「ダビデに誓われたもの」とは<ダビデ契約>のことです。この詩89篇では19節から37節に記されているものです。この契約の特異性は、ダビデの家系の永遠性と不動性にあります。もし契約に違反した場合、そのそむきの罪を罰したとしても、わたしは恵みを彼からもぎ取らないというものでした。ダビデの子孫はとこしえまでも続くという約束です。これはダビデの家系からやがてメシアが送られて救いを成し遂げ、その王座は固く保たれるという約束です。
  • 神はシナイ契約とは別に、ダビデとの契約を交わしていました。もしイスラエルの民がシナイ契約の下にのみあるならば、彼らはその契約を破ったのであり、当然、その罰を受け、契約が破棄されて何の関わりもなくなってよかったはずです。しかし神は、別なサイトの契約をダビデに語っていました。それは「恵みの契約」であり、「永遠の契約」です。それはやがてダビデの子孫から出てくるメシア(キリスト)との契約にあずかる者に対してすべて有効な契約です。
     
  • この詩篇には「恵み」(「ヘセド」חֶסֶד)と「まこと(真実「エムナー」אֱמוּנָה)」ということばが貫いています。まさに契約の本質はこの二つのことばに要約されます。作者は契約の神をたたえています。「私は主の恵みを、とこしえに歌います。あなたの真実を代々限りなく私の口で知らせます。」これがこの詩篇の一番言わんとするところだと信じます。私もこの作者と共に告白します。
  • 「恵みと真実」(הַחֶסֶד וְהָאֱמֶת)はイエス・キリストによって実現します(ヨハネの福音書1章17節)。イエス・キリストの仲介によって結ばれる「新しい契約」は、御霊なる神によって、私たちの心に律法が書き記されることによって成り立つ契約であり、神の愛の奇蹟そのものです。そしてそのことが完全に成就する日は、メシア王国においてなのです。

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