瞑想Ps89/C
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瞑想Ps89/C ・・・・「恵み」と「まこと」はワン・セット
- 詩89篇には他の詩篇にない特徴があります。その特徴というのは「恵み」と「まこと(真実)」ということばが、しかも、ワン・セットで7回も登場しているということです。このワン・セットは神がダビデと結んだ「ダビデ契約」の特徴です。しかもその契約には「とこしえに」「永遠に」ということばが附随していることも特徴的です(詩89篇では5回)。
- 新改訳聖書で「恵み」と訳されたヘセドは、口語訳、新共同訳、フランシスコ会訳、典礼訳では「いつくしみ(慈しみ)」と訳されています。バルバロ訳は「愛」と訳しています。英語では The mercy, the loving-kindness, loving mercy, constant love, steadfast,love, などと訳されています。
- この「恵み」と「まこと(真実)」のワン・セットは詩篇の中では全部で21回使われていますが、詩89篇7回を除くと、他の14回は以下の詩篇において各1回のみです。
- 25:10「主の小道はみな恵みとまことである。」
36:5 「主よ。あなたの恵みは天にあり、あなたの真実は雲にまで及ぶ。」
40:11「あなたの恵みとあなたのまことが、絶えず私を見守るようにしてください。」
57:3 「神は恵みとまことを送られるのです。」
57:10「あなたの恵みは大きく天にまで及び、あなたのまことは雲にまで及ぶ。」
61:7 「恵みとまことを彼(ダビデ)に授け、彼を保つようにしてください。」
85:10「恵みとまことは互いに出会い」
92:2 「朝にあなたの恵みを、夜ごとにあなたの真実を言い表わすことは」
98:3 「主はイスラエルの家への恵みと真実を覚えておられる。」
100:5「主はいつくしみ深く、その恵みはとこしえまで。その真実は代々に至る。」
108:4「あなたの恵みは大きく天の上にまで及び、あなたのまことは雲にまで及ぶ。」
115:1「あなたの恵みとまことのために、栄光をただあなたの御名にのみ帰してください。」
117:2「その恵みは、私たちに大きく、主のまことはとこしえに至る。」
138:2「あなたの恵みとまことをあなたの御名に感謝します
- やがて「恵みとまことはイエス・キリストによって実現」します(ヨハネの福音書1章17節)。この方は「恵みとまことに満ちておられた」(同、1章14節)とヨハネは記しています。新約聖書で「恵みとまこと」がワン・セットで用いられているのはこの2箇所のみです。
- 「主よ。あなたのさきの恵みはどこにあるのでしょうか。それはあなたが真実をもってダビデに誓われたものです」(89:49)とこの作者が「ダビデ契約」を拠り所として神に訴えている詩89篇は、まさに『メシア的詩篇』(注)と言えます。
- 詩89篇1節に「私は、主の恵みを、とこしえに歌います。あなたの真実を代々限りなく私の口で知らせます。」とあるように、キリストにあるひとり一人が人のかたちをとられた神の御子イエス・キリストをとこしえに賛美し、また自分の口で伝える者となることが問われているのです。
(注)
- 詩篇の中でメシアに言及しているものとしては、この89篇の他に、2篇、8篇、16篇、20篇、22篇、24篇、40篇、41篇、68篇、69篇、72篇、91篇、102篇、110篇、118篇があります。